1988 Fiscal Year Annual Research Report
高密度生活空間における臭気指標の確立と空気質の総合的評価法に関する研究
Project/Area Number |
63420044
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落藤 澄 北海道大学, 工学部, 教授 (50001152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 真太郎 北海道大学, 工学部, 助教授 (90002279)
澤登 龍彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (30001150)
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Keywords | 高密度生活空間 / 空気環境試験室 / 臭気指標 / 換気率 / 生体機能 |
Research Abstract |
今年度は本研究の初年度にあたり、空気環境試験室の製作とその制御方式の確立を第一に行った。空気環境試験室自体の外径寸法はW2700×H2400×D4500で、ダクト系を含めた容積は30.9〔m^3〕となっている。風量については、室内循環量0〜3000〔m^3/h〕、外気導入量の0〜720〔m^3/h〕の可変方式とした。また、試験室内の空気循環については全面床吹出し方式、天井排気方式を採用し、二系統の空気浄化装置を設けている。更に、PID制御による気温15〜35℃、相対湿度40〜80%を制御幅とする温湿度調整を備え、通常の使用状態では設定温度±0.1℃、設定湿度±5%の精度で運転可能である。 以上の試験室を用いて、臭気指標に関する主観評価の実験を進めた。実験は室内臭気指標の基本となる体臭について行い、気温22℃、相対湿度50%の設定条件のもとで、6段階の臭気強度、2段階の容認性、5段階スケールの新鮮性の主観評価値を調べた。これまでの延べ98名の室外判定員による2.23〔m^3/h・人〕〜33.6〔m^3/h・人〕の換気率についての6回の実験結果によると、個体間変動がみられるものの換気率と強度ならびに新鮮性との間の相関関係が示された。また、容認性の不満足率の結果は6回の実験いずれの場合も、デンマークでのFanger(1988)の報告よりも低値をとり、わが国独自の臭気指標作成の必要性が示唆された。 また、臭気物質の生体機能への直接影響に関する基礎実験を進めた。測定項目は(1)頭頂部の脳波(脳電位)、(2)軽負荷テスト収縮時の上腕二頭筋の筋電図(筋電位)、(3)心拍数、(4)心拍間隔分散値、(5)サーモグラフィーによる顔面皮膚温度である。これまで基準臭の中から選択した5種の実験によると、β-フェニルエチルアルコール、イソ吉草酸により高次神経系の活動に影響を与えること、また一般に悪臭とされるイソ吉草酸、スカトールでは体性神経系、交感神経系の活動に影響を与えていることが示された。
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