Cr-Mo鋼溶接熱影響部のクリープ脆化および割れに関する研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63420048
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 玉置 維昭 三重大学, 工学部, 教授 (30023047)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鈴木 実平 三重大学, 工学部, 助手 (90111872) ; 小嶋 昌俊 三重大学, 工学部, 助教授 (90023275) ; 加藤 征三 三重大学, 工学部, 教授 (30023229)
• Keywords: Cr-Mo鋼 / 溶接熱影響部 / クリープ脆化 / クリープ割れ / 溶接熱サイクル再現装置 / 専用クリープ試験機 / 結晶粒界型破面 / りんの粒界偏析

Research Abstract

1.専用クリープ試験機の製作:Cr-Mo鋼溶接熱影響部(HAZ)のクリープ割れおよびクリープ脆化を再現する装置として、本研究に専用のクリープ試験機(能力10ton)を設計し、研究室で試作した。本試験機では試験片の酸化を防ぐため、アルゴン・シールド方式を採用している。本試験機の計測精度および高温、長時間の使用性能について、データ収集を行った。
2.HAZクリープ割れ試験結果:1Cr-1/2Mo鋼試験材を用い、本研究費で購入した溶接熱サイクル再現装置により、HAZ再現試験片を作った。この試験片および母材試験片を用いて、試験温度550℃および600℃、試験応力50MPa〜500MPaにおけるクリープ割れ試験を実施した。試験結果をとりまとめて、負荷応力と割れ発生時期の関係を示す線図を作成した。同結果から、HAZ再現試験片は母材試験片にくらべ、はるかに短時間側でクリープ割れを生じることが知られた。なお、低応力域については、現在、試験継続中である。
3.割れ試験片の破面観察結果:アルゴン・シールド中で破断させた試験片について、走査電子顕微鏡による破面観察を行った。その結果として高応力域での破面は主として結晶粒界型であるが、応力の低下とともに結晶粒内型の破面が増加することが知られた。このような破面の特徴は再熱割れ破面の特徴に類似している。このことからHAZクリープ割れは再熱割れと類似の機構で発生すると考えられる。
4.冶金学的試験結果:負荷状態で高温、長時間保持した試験片について、結晶粒界でのりんの偏析挙動をしらべた。その結果、応力が高いほど、粒界偏析が顕著になることが知られた。さらに、長時間保持中における炭化物の種類および形状の変化についてしらべた。この炭化物の析出挙動とクリープ割れ発生機構の関連について検討をすすめている。

Research Products

• [Publications] 玉置維昭: Research Reports of the Faculty of Engineering,Mie University. 13. 21-30 (1988)
• [Publications] 玉置維昭: Trans.Japan Welding Society. 19. 46-52 (1988)
• [Publications] 玉置維昭: Research Reports of the Faculty of Engineering,Mie University. 14. (1989)
• [Publications] 玉置維昭: 溶接学会溶接冶金研究委員会資料. (1989)