1988 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体の結晶成長、相変化および特性の相互関連の研究
Project/Area Number |
63420052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小松 啓 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00108565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 哲夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60005923)
林 成行 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80005868)
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Keywords | 高温超伝導体 / 123相 / 相変態双晶 / 双晶の観察法 / 臨界温度 / 徐冷法 / 超伝導単結晶 |
Research Abstract |
大型良質高温超伝導単結晶を再現性よく育成することを目指し、育成法と条件について研究を行った。フラックスを用いた徐冷法で、CuOとBaOを各種の比にして試みを行ったが、大差が無かった。いずれも数ミリメートルの辺をもつ薄板状単結晶が得られた。単結晶のみによるDTA、TGAを試みたが結晶の重量不足のため不成功であった。Tcと双晶の間には強い相関があり、双晶模様が良く発達した単結晶は高いTcを示す。しかし、その逆は必ずしも成立ってないように見られる。底面に双晶が全く見られない結晶でも、高いTcを示す場合があった。偏光と微分干渉の両観察法を比較検討することにより、双晶が双晶周辺部や渦巻成長中心の欠陥から発達しはじめることが明らかとなった。トラベリングソルベント法による単結晶育成を、光集中炉で多数試みた。しかし、溶媒が焼結棒中に浸入し、溶液の組成が刻々変化するため、まだ成功していない。これは、世界中で試みがなされているが、レーザーメルトによる直径が1ミリメートル以下のものしか得られてない。フラックス法で得たRBa_2Cu_3O_<7ーδ>(R=Y、Er、Eu、Dy、Yb)のTcを多数個の試料で測定し、65〜90Kの間に分布していることを確認した。このようなTcの分布は、結晶成長時および酸化焼鈍時に、結晶に吸収された酸素の量の差によると判断し、結晶を均等に酸化することを試みた。CrO_3を融解し、フラックスの凝固物ごと、この融液に浸し、表面を覆った状態で、これまで同様の酸化、焼鈍の処理を行った。これにより、65〜90KのTcの分布が、85〜92Kの布分に変わった。この酸化処理法は全く新しい方法で、いわゆる123系の酸化物超伝導体のみならず、他の酸化物にも適用できると考えられる。また、この処理方法は、単結晶のみならず、多結晶体や薄膜にも応用可能と思われる。CrO_3の分解による酸素がどのような過程によって結晶に吸収されるかの詳細は今後の課題である。
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[Publications] S.Hayashi;H.Komatsu;T.Inoue;T.Ono,K.Sasaki;Y.Koike;T.Fukase: J.J.A.P.(Japanese Journal of Applied Physics). 26. L1197-L1198 (1987)
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[Publications] X.Wang;T.Nanba;M.Ikezawa;S.Hayashi;H.Komatsu: J.J.A.P.26. L2023-L2025 (1987)
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[Publications] X.Wang;T.Nanba;M.Ikezawa;S.Hayashi;H.Komatsu: J.J.A.P.27. L1913-L1916 (1988)
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[Publications] T.Inoue;S.Hayashi;M.Shimizu;H.Komatsu: Journal of Crystal Growth. 91. 287-289 (1988)
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[Publications] S.Hayashi;T.Ohno;T.Inoue;H.Komatsu: Journal of Crystal Growth. 91. 331-333 (1988)
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[Publications] S.Hayashi;T.Ohno;T.Inoue;H.Komatsu: J.J.A.P.28. L217-L218 (1989)
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[Publications] H.Komatsu;S.Hayashi;T.Ohno;T.Inoue: J.Materials Science Letters. 8. (1989)
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[Publications] S.Hayashi;T.Ohno;T.Inoue;H.Komatsu: Journal of Crystal Growth. (1989)
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[Publications] 小松啓,林成行,井上哲夫: 粉体および粉末冶金. 35. 313-317 (1988)