1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63430006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩村 秀 東京大学, 理学部, 教授 (10011496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 登 東京大学, 理学部, 助手 (60161890)
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Keywords | 有機磁性体 / ポリジアセチレン / mーポリアニリン / ポリラジカル / カルベン / ナイトレン / 分子設計 / ニトロキシド ラジカル |
Research Abstract |
ポリ(mーフェニレンカルベン)(1)は、基底状態のスピン多重度が2n+1(nはユニット数)の高スピン種であり、通常の磁性遷移金属塩や錯体よりも大きな磁気モ-メント(μ_<eff>)を持つことができる。1は、150K以下の固体でしか安定に存在し得ないが、材料科学的に興味ある安定試料を得るために、2系統のポリニトロキシドを導入した。 1)1のカルベン中心を安定ニトロキシドラジカルで置き換えたポリ(mーオキシイミノフェニレン)(2)を設計し、構築を進めた。3量体ビス(mーオキシイミノフェニル)ニトロキシド(3)を合成し、ESRスペクトルおよび常磁性磁化率の測定から、四重項(μ_<eff>の最大値は3.53μ_B(140K))を基底状態とすることを確認した。2は、今日知られている最も安定な四重項結晶(橙色、mp123℃)である。2のヘテロ原子は、その電気陰性度の摂動により、高スピンの基底状態を不安定化するかも知れないという理論的な懸念があったが、1と2に共通のトポロジ-が、高スピン種を与える上で重要な要素であることが明らかとなった。mージブロモベンゼンをジリチオ化した後亜硝酸アミルと反応させる方法等を用い、2の合成を進めた。理論値の20%ほどスピン濃度を持つ試料が得られ、これらは主として常磁性であるものの、試料の一部には100Kで早く飽和する磁化曲線を与えるものがあり、局所的に高スピンクラスタ-ができていると考えられる。 2)フェニル基上にニトロキシドを有する1ーフェニルー1,3,5ーヘキサトリイン誘導体を合成し、固相熱重合を行い、ポリジアセチレン型のポリマ-を得た。ESRスペクトルおよび常磁性磁化率の測定から、試料の一部には100Kで早く飽和する磁化曲線を与える成分があり、局所的に100個ものスピンが揃ったクラスタ-ができていると結論された。
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[Publications] Ikuo Fujita,Y.Teki,T.Takui,K.Itoh,F.Miko,H.Iwamura,他: "Design,Preparation,and ESR Detection of a GroundーState Undecet (S=5) Hydrocarbon" J.Am.Chem.Soc.112. 4074-4075 (1990)
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[Publications] Y.Nakamura,H.Iwamura: "Synthesis and Characterization of 2ーFerrocenylー4,4,5,5ーtetramethylー2ーimidazolinylー1ーoxyl 3ーOxide and Its CTーComplexes with DDQ" Chemistry Lett.69-72 (1991)
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[Publications] T.Ishida,H.Iwamura: "An Improved Synthesis of Poly(mーaniline) and the Magnetic Properties of Its HCl Salt" Chemistry Lett.317-318 (1991)
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[Publications] T.Ishida,H.Iwamura: "Bis(3ーtーbutylー5ー(Nーoxyーtーbutylamino)phenyl) Nitroーxide in a Quartet Ground State:a Prototype for Persistent HIgh Spin Poly(oxyiminoー1,3ーphenylenes)" J.Am.Chem.Soc.113. (1991)
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[Publications] 岩村 秀: "有機磁性体の今日と明日" 固体物理. 25. 539-544 (1990)
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[Publications] 井上 克也、岩村 秀: "有機強磁性体の分子設計" PETROTECH. 13. 871-876 (1990)