1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63430014
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽我 直弘 京都大学, 工学部, 教授 (80026179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 和樹 京都大学, 工学部, 助手 (00188989)
平尾 一之 京都大学, 工学部, 助教授 (90127126)
|
Keywords | 無機非晶質 / 中範囲構造 / 蛍光スペクトル / コンピュータシミュレーション / ガラス / 非平衡状態 |
Research Abstract |
無機非晶質中における原子の配列はある程度の短範囲秩序を示すが、長範囲にわたる規則性はもたない。現在、超急冷法、スパッタ法、ゾルーゲル法などで新機能をもつ非晶質が作製されつつあるが、これらの非晶質の特性発現のもととなる数〓〜数10〓の中範囲の乱れやそのつながり方については、殆んど調べられておらず、新しく、しかも画期的な機能を備えたガラスを創製するための障害になっている。そこで本研究はこの中範囲構造を追求し、その制御法を確立することを主目的とした。本年度は、この研究の一環として中範囲秩序の異なったEuを含有するガラスを溶融法やスパッター法で作製し、その蛍光スペクトルを測定し、ガラス構造について検討し、次のような興味ある結果を得た。 1.ホウ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウリン酸塩、テルル酸塩、ゲルマン酸塩各ガラスを作製し、含有しているEu^<3+>の蛍光スペクトルを測定したところ、一次元鎖状構造からなるリン酸塩ガラスが最も対称性の良い位置にEu^<3+>イオンを配することができることが明らかになった。またEu^<3+>の配位しているサイトのバラツキは、Eu^<3+>の配位しているサイトの対称性とほぼ比例関係にあることがわかった。 2.シリカガラスにEu^<3+>を導入するためにスパッター法を用いて非晶質を作製し、その蛍光スペクトルを測定したところ、Eu^<3+>の配位しているサイトは、対称性が極めて悪いサイトであることが分かった。これは、スパッター法により作製したガラスが極めて不安定な非平衡状態にあることを示唆しており、特異な物性の発現が期待される。 以上の結果をふまえて中距離秩序を大きく変えたガラスを作製し、その構造を反映した物性の関係を明らかにするとともに、特徴ある機能性ガラスを合成することを次年度の目標としたい。なお、これらの関係をコンピュータシミュレーションも並用して設計も行なう予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 曽我直弘: J.Appl.Phys.63. 4451-4454 (1988)
-
[Publications] 花田禎一: J.Non-Crystalline Solids. 105. 39-44 (1988)
-
[Publications] 曽我直弘: Diffusion and Defect Data. 53ー54. 265-276 (1987)
-
[Publications] 田中勝久: J.Appl.Phys.64. 3299-3301 (1988)
-
[Publications] 中西和樹: J.Non-Crystalline Solids. 100. 399-403 (1988)
-
[Publications] 平尾一之: Proc.Int.Symp.on Halide Glass.
-
[Publications] 曽我直弘: "マテリアルデザイン" 丸善, (1988)
-
[Publications] 曽我直弘: "無機ファイン材料の化学" 三共出版, (1988)