1988 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫神経ペプチド類の構造研究を基盤とする新たな昆虫生理化学の展開
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63430021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 昭憲 東京大学, 農学部, 教授 (90011907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正吾 東京大学, 農学部, 助手 (60134516)
長澤 寛道 東京大学, 農学部, 助手 (60134508)
磯貝 彰 東京大学, 農学部, 助教授 (20011992)
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Keywords | 前胸腺ホルモン / ボンビキシン / 羽化ホルモン / 体色黒化ホルモン / 性フェロモン生合成活性化神経ペプチド |
Research Abstract |
1.神経ペプチドの構造研究 ボンビキシンIVの構造研究をかねてから続けていたが、最終的に48残基の全一次配列を決定した。前胸腺刺激ホルモンについて各種酵素消化断片の配列分析結果を総合することによりN末端から104残基の連続したアミノ酸配列を推定した。羽化ホルモンのアミノ酸配列はN末端から61残基が既に推定されていたが、遺伝子のクローニングと塩基配列分析の結果から、さらにLeu1残基がC末端に存在することが予想され、この確認実験を行いつつある。アワヨトウ体色黒化ホルモンーI(MRCH-I)の構造解析を進めた結果、N末端から32残基のアミノ酸配列を推定した。性フェロモン生合成活性化神経ペプチド(PBAN)のN末端10残基を決定したところ、MRCH-Iの配列と完全に一致した。 2.ペプチドの合成研究 本研究費によりペプチド合成機を購入した。この合成機を用いてこれまでに10数個のペプチドを合成した。ボンビキシンーIIのA、B両鎖を個別に合成した後、ジスルフィド架橋を結ぶことにより天然物と全く一致する合成品を得た。MRCH-Iの推定した32残基のペプチドを合成したが、このペプチドは天然物と一致せず、生物活性もなかったことから、さらにC末端側にアミノ酸が延長していると推定された。前胸腺刺激ホルモンのN末端15残基、および羽化ホルモンのC末端13残基の部分ペプチドを合成し、これらを高分子タンパクに結合し、これらを抗原としてモノクローナル抗体を作製した。これらの抗体は、ペプチド産生細胞の同定や遺伝子のクローニングに利用できると考えている。 3.神経ペプチドの精製 カイコ成虫頭部を材料としてその80%エタノール抽出物からPBANを単離した。アラトトロピンと休眠ホルモンの生物検定系を確立するため種々の条件検討を行っており、確立でき次第、精製を開始したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiromichi Nagasawa: Agric.Biol.Chem.52. 2985-2987 (1988)
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[Publications] Kazunori Maruyama: Agric.Biol.Chem.52. 3035-3041 (1988)
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[Publications] Takaharu Kono: Zoological Science. in press.
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[Publications] D.Zachary: International J.Invertebrate Reproduction and Development. 14. 1-10 (1988)
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[Publications] H.Ishizaki: Horm.metabol.Res.20. 426-429 (1988)
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[Publications] 鈴木昭憲: Nippon Nogeikagaku Kaishi(農化誌). 62. 1435-1442 (1988)