1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63430022
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Research Institution | Faculty of Pharmaceutical Sciences, University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒田 洋治 東京大学, 薬学部, 教授 (40011499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 善文 横浜市立大学, 大学院総合理学研究科, 教授 (70107390)
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Keywords | NMR / 免疫グロブリン / 抗原抗体反応 |
Research Abstract |
平成元年度は、主として、^<13>CNMRを用いるための方法論の開発を行った。^<13>Cは天然存在比が低い(1.1%)ため、本来は極めて微弱なシクナルしか与えないが、このことを逆用すれば、特定アミノ酸の特定位置を選択的に^<13>Cで標識することによって、着目する部位に関する情報のみを抽出することが可能となる。カルボニル炭素を^<13>Cで標識した抗体を調製し、NMRの測定を行った結果、抗体分子の「全てのMet残基」の主鎖カルボニル基に由来する^<13>CNMRシグナルの観測に成功した。さらに、二重標識法を適用し、これらのシグナルの位置特異的帰属が可能となった。 L鎖(V_L、C_L)、V_Hを共有し、残りのC領域(サブクラス)が異なるマウス抗ダンシルスイッチバリアント抗体:IgG1、IgG2a、IgG2a(S)、IgG2bを用いて解析を進めた結果。V_H、V_Lに続くC領域が、抗原結合部位の構築にどのような役割を果たしているかが明らかになりつつある。これまでの研究によって、生体防御システムの中核をなす抗体分子について、タンパク質の高次構造の視点に立って解析するための戦略を確立し得たと考えている。今後は、抗体による特異的認識応答機能の解析をさらに進め、異なる機能を有する複数のドメインが集って、どのようにして最適の生物活性発現を行っているかについて解析し、抗原結合部位を、単に酵素反応にとどまらず、多数な化学反応の場として謂わば「保護的環境」として広く用いるための基礎的研究を発展させたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 加藤晃一: "Proton nuclear magnetic resonance study of a selectively deuterated mouse monoclonal antibody:Use of twoーdimensional homonuclear HaetmannーHahn spectroscopy" J.Biochemistry. 106. 361-364 (1989)
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[Publications] 伊藤渉: "Proteinーprotein interactions on the surface of immunoglobulin molecules" J.Mol.Graphics. 7. 60-63 (1989)
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[Publications] 加藤晃一: "Application of ^<13>C nuclear magnetic resonance spectroscopy to molecular structural analyses of antibody molecules" J.Biochemistry. 105. 867-869 (1989)
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[Publications] 林文晶: "PhotoーCIDNP studies of Bence Jones proteins,immunoglobulins and their proteolytic fragments" Biochemistry. 28. 3976-3981 (1989)
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[Publications] Royston Jefferis: "Glycosylation hetergeneneity in human IgG subclass proteins" Biochem.Soc.Trans. 16. 340-341 (1988)
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[Publications] 桑名良博: "Expression of chimeric receptor composed of immunoglobulinderived V regions and Tーcell receptorーderived C regions" Biochem.Biophys.Res.Commun. 149. 960-968 (1987)
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[Publications] 三森文行: "新基礎生化学実験法5巻(分担)" 丸善, (1989)
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[Publications] 加藤晃一: "シリ-ズ分子生物学の進歩3巻(分担)" 丸善, (1990)