1988 Fiscal Year Annual Research Report
エナンチオ選択的プロトン化によるキラル構造単位の構築
Project/Area Number |
63430024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨士 薫 京都大学, 化学研究所, 教授 (20027056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 正仁 京都大学, 化学研究所, 助手 (50127065)
長尾 善光 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40027074)
野出 学 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60027076)
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Keywords | 不斉合成 / 付加・脱離反応 / ニトロオレフィン / インドールアルカロイド / アスピドスペルミジン |
Research Abstract |
σー対称を有する4ーハイドロキシピメリン酸のジナトリウム塩をαーカンファースルホン酸で低温下、徐々に中和することにより対応するラクトンカルボン酸を高い不斉収率で得ることに成功したが、この条件を対応する6員環ラクトンに適用した所満足すべき不斉収率を出すことが出来なかった。反応温度、最適濃度、プロトン酸の種類等広範囲な条件検討の結果6員環ラクトンには本法の適用は不適当との結論を得た。しかしながら光学活性6員環ラクトン類は有用生理活性天然物の構築単位として極めて重要なものであるので他の方法による光学活性6員環ラクトン類の合成法を検討し好結果を得た。本法はβー位に不斉アミン類を有するニトロオレフィンを反応剤とし付加・脱離型反応を基本とする不斉導入反応である。特にα位が4級炭素となっている6員環ラクトン類の不斉合成に有用である。 インドールアルカロイドは抗腫瘍活性を含む多彩な生理活性を有する為古くから注目されている。特にアスピドスペルマおよびフンテリア型のアルカロイドは重要な一群である。上記の付加・脱離型不斉反応で得られたラクトン類のうち、α位にエチル基を有するものは構造的にこれらアルカロイドの構築単位として非常に適したものである。本年度はこれらアルカロイドのうち(+)ーケブラカミン、(-)ーアスピドスペルミジン、(+)ーデメトキシアスピドスペルミンおよび(-)ーエブルナモニンの不斉全合成を完了した。また、今回合成したアルカロイドからビンカミン等10種のアルカロイドが化学的に導かれているのでこれら10種のアルカロイドも形式的ではあるが全合成されたことになる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Ochiai;et al.: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1076-1077 (1988)
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[Publications] M.Ochiai;et al.: J.Org.Chem.53. 6144-6145 (1988)
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[Publications] K.Fuji;et al.: J.Am.Chem.Soc.111. (1989)
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[Publications] M.Node;et al.: J.Am.Chem.Soc.111. (1989)
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[Publications] 冨士薫: "大学院有機化学(下)" 講談社, 831-858 (1988)