1989 Fiscal Year Annual Research Report
海洋微生物による有用魚類の成長・分化・生殖の化学的制御に関する研究
Project/Area Number |
63440015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 祐三郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克 京都大学, 農学部, 助教授 (20155170)
坂口 守彦 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (00027187)
左子 芳彦 京都大学, 農学部, 助手 (60153970)
内田 有恆 京都大学, 農学部, 助教授 (50027190)
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Keywords | ヒラメ / 変態・着定 / ジメチル・β・プロピオテチン / 微細藻類 / 成長促進 / 稚仔魚 |
Research Abstract |
本研究は、ヒラメなどの有用魚類の稚仔魚の成育、変態、着底の生理・生態と、これに関与すると推定される微生物の役割を解明しようとするものである。平成元年度に得られた成果は下記の通りである。 1.ヒラメ稚仔魚の変態・着定期の体成分の変化と諸器管の発達。飼育したヒラメ稚仔魚は着底直後の変態最終期において、体組織および肝組織の脂質含量が著しく減少、肝重量も減少する。これは、天然海域のヒラメ稚仔魚が着底直後に空胃率が高くなることと関連している。これらの結果は、着底が変態最終期に生じ、この時期には一時的に摂食活動が休止し、幼生型から成魚型へ転換が起るものと推定された。この着底には、海底の物理的、化学的、生物的諸要因が影響していることが示唆された。 2.ヒラメ稚仔魚の着底を促進する微生物のスクリ-ニングを行った。各種微生物をそれぞれポリビニルアルコ-ル(PVA)で固定化し、水槽の底に設置し、どのマットの上にヒラメが着定するかを調べた。一部の付着珪藻(Grammatophora sp.)とラフィド藻(Chattonella antiqua)が有効であることがわかった。 3.タイ、ハマチおよびヒラメの稚魚の成長促進物質として、渦鞭毛藻に特異的に多く含まれる有機イオウ化合物ジメチル・β・プロピオテチン(DMPT)が極めて有用であることが判明した。DMPTを飼料に5μMになるように添加して飼育するとタイは18日目で2.5倍、ハマチは13日目で4.5倍、ヒラメは13周目で1.3倍に体重が増加した。 本年度に得られた成果をもとに、次年度からその発展を期する予定である。だが、ヒラメ稚仔魚の飼育実験の期間が限定されるため、実験方法の検討も平行して行う予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] A.Uchida: "The application of monoclonal antibodies to an identification of Chattonella marina and Chattonella antiqua." Nippon Suisan Gakkaishi. 55. 721-725 (1989)
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[Publications] K.Nakajima: "Effects of heterocyclic sulferーcontaining compounds on the striking response of goldfish." 甲子園大学紀要. 6. 7-10 (1989)
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[Publications] M.Eguchi: "Oligotrophic properties of heterotrophic bacteria and in situ heterotrophic activity in pelagic seawaters." FEM Microbiol.Ecol. 73. 23-30 (1989)
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[Publications] M.Tanaka: "Lunarーphased immigration and settlement of metamorphosing Japanese flounder larvae into the nearshore nursery ground." Rapp.P.ーv Reun.Cons.int.Exp.Mer.191. 303-310 (1989)
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[Publications] M.Tanaka: "IMMIGRATION,SETTLEMENT AND MORTALITY OF FLOUNDER (PARALICHTHYS OLIVACEUS)LARVAE AND JUVENILES IN A NURSERY GROUND,SHIJIKI BAY,JAPAN." Neth.J.Sea Res.24. 57-67 (1989)
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[Publications] J.B.Tanangonan: "Changes in Tissue Thyroxine Level of Metamorphosing Japanese Flounder Paralichthys olivaceus Reared at Different Temperatures" Nippon Suisan Gakkaishi. 55. 485-490 (1989)
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[Publications] Y.Ishida: "水産学シリ-ズ77 魚介類の生息環境と着臭" 恒星社厚生閣, 125 (1989)
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[Publications] Y.Ishida: "RECENT ADVANCES IN MICROBIAL ECOLOGY" Japan Scientific Societies Press, 724 (1989)