1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経・内分泌系による胸腺ホルモン分泌調節に関する研究ー胸腺ホルモン分泌性(胸腺上皮性)細胞初代培養系を用いてー
Project/Area Number |
63440018
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木下 喜博 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80046896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽藤 文彦 大阪市立大学, 医学部, 助手 (00198772)
豊川 奉 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90172741)
寺野 由剛 大阪市立大学, 医学部, 講師
船江 良彦 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00047268)
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Keywords | 胸腺上皮性細胞 / 神経・内分泌系 / 胸腺ホルモン / 分泌調節 / ポリベブチドの分離・精製 / T細胞の分化・成熟 / 生体防衛機構の個体発生と老化 |
Research Abstract |
胸腺微小環境における上皮性細胞(TEC)はポリベブチド(POP)を分泌し、これが前駆T細胞に作用し、T細胞へと分化・成熟させるといわれているが、その分泌機作と調節については全く不明である。この重要課題解決の為、(I)TEC培養の設定、(II)I培養上清中へ分泌されたPOPの精製法確立、(III)POP分泌構への神経・内分泌系の関与の実証、等に取り組み、一定の成果をあげた。(I)TEC初代培養法を設定したが、他種細胞の混在は避け難くTEC細胞株を研究用材料とした。(II)(1)TEC培養上清を大量採集し、冷結乾燥後、燐酸緩衝液に溶かし、これをゲル濾過カラム装着の高速液体クロマト(HPLC)にかけ、4種のPOP分画(A,B,C,D,推定分子量,10,7,3,2,5,KD)を分離した。(2)A分画はPTC増殖誘導活性を保持することを発見した。このPOPの精製と構造決定はT細胞減少に併う免疫不全症の治療薬(遺伝子組み換え法による)開発の基礎となろう。(3)D分画はコンカナバリンA応答能とフィトヘムアグルチニン応答能の誘導活性を持つが、この分画を逆相クロマトカラム装着のHPLCにかけると、前者は疎水性POF亜分画に、後者は親水性POP亜分画に濃縮されることが判明した。(III)(1)培養TECのpreーconfuentstateにアセチルコリン(Ach)を投与すれば、DNA合成能および有糸分裂指数の亢進が誘導されるが蛋白合成能は抑制された。(2)(1)の系をAch受容体の競合的阻害剤であるαーブンガロトキシンにて前処置すると、上記の変化は認められなかった。これはTECの活性POP分泌にcholinergic agonistの関与を示唆し、現在TEC表面膜におけるAch受容体の存在を分子生物学的に検討中である。(3)(1)のシステムに成長ホルモン又はサイロキシンを添加すると、Ach投与と類似の結果が得られた。(4)似上は、仮説(申諸者の提唱)"神経・内分泌系による胸腺ホルモン分泌調節"を支持するものでさらなる解析を計画している。
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[Publications] Toyokawa T.;Hato F.; Mizoguhi,S.;Kimura,S.;Matsuyama,M.;Kinoshita,Y.: Cellular and Molecular Biology. 33. 363-374 (1987)
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[Publications] Hashimura,H.;Toyokawa,T.;Hato,F.;Oshitani,N.;Kimura,S.;Kinoshita,Y.: Cellulr and Mology Bilogy. 33. 375-386 (1987)
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[Publications] Okimoto,T.;Kinoshita,Y.;Hato,F.;Toyokawa,T.;Kimura,S.;Kinoshita,H.: Cellular and Molecular Biolagy. 34. 465-472 (1988)
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[Publications] Tagata,T.;Kinoshita,Y.;Fujii,S.;Hato,F.;Toyokawa,T.;Kimura,S.;Morii,H.: Cellular and Molecular Biology. 35. (1989)
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[Publications] Kinoshita,Y.;Toyokawa,T.;Hato,F.;Masuda,A.;Matsuyania,M.: Nature(London).
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[Publications] Tominaga,K.;Kitamura,K.;Hato,F.;Kinoshita,Y.: J.of Cellular.Physiology.
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[Publications] 木下喜博: "バイオ分離工学ハンドブック(動物細胞の分離)" サイエンスフオーラム, 407-422 (1988)
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[Publications] 木下喜博: "産業内科学(血球の分離法)" 医歯薬出版株式会社, 166-174 (1988)