1990 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス・脳ー免疫系応答における視床下部ホメオスタシス系の役割
Project/Area Number |
63440020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 哲郎 九州大学, 医学部, 教授 (00022814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟生 修司 九州大学, 医学部, 助教授 (40150908)
海塚 安郎 九州大学, 医学部, 助手 (00224329)
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 助手 (80177401)
清水 宣明 九州大学, 医学部, 講師 (50019634)
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Keywords | 脳・免疫系連関 / 脾臓交感神経 / インタ-フェロンα / オピオイド・ペプチド / 視床下部 / ナチュラルキラ-細胞 / ストレス / セロトニン |
Research Abstract |
本研究は環境適応ホメオスタシス系が脳・免疫系連関においてどの様な役割を果しているかを次の4点にしぼり解明するのが目的である。(1)免疫制御物質の視床下部ニュ-ロン作用機構、(2)免疫系に対する種々の環境ストレスの影響、(3)視床下部破壊及び薬物刺激時の免疫反応修飾、(4)免疫応答時の視床下部ニュ-ロン活動を解析し、環境ストレスに伴う脳・免疫系応答の視床下部の役割とその生理的意義を明らかにする。 第3年度目は前年度までの成果に立ち更に次の4点を明らかにした。 (1)脳室内あるいは視床下部にインタ-フェロンα(IFNα)を微量注入し、脳オピオイド受容体を刺激すると、脾臓ナチュラルキラ-(NK)細胞の腫瘍攻撃活性が低下する。この効果は、副腎除去動物でもみられるが、脾交感神経切除で消失する。この事から、脳オピオイド受容体刺激による脾NK細胞活性は脾交感神経により伝達される事が判明した。(2)背側迷走神経核ニュ-ロンはエンケファリン(DADLE,0.01ー3μM)によりμー受容体を介して、Kコンダクタンス上昇により過分極する事を明らかにした。(3)血中免疫サイトカインの脳受容部位として注目される終板器官周辺のニュ-ロンをラット脳スライス標本で調べた所、PGE_2に対する感受性が、視索前野ニュ-ロンよりも10倍以上高い(閾値2nM)事が判明した。終板器官は血中サイトカインが脳へ信号を伝達する際のインタ-フェ-ス機構を担っている。(4)体外へとり出した脾臓NK細胞の活性に対するin vitroでの温度の直接効果を調べた所、36ー38℃で最もNK活性が高く、それより高温あるいは低温下でNK活性が減弱する事が判明した。これは前年度見出したin vivoでの受動的高及び低体温で見られるNK活性の抑制という知見と一致する。これは高温がT細胞機能を促進するという知見と対照的であり、温度ストレスは、細胞性免疫に対して選別的な作用があると推定される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kuriyama,T.: "Actions of interferonα and interleukinー1β on the glucoseーresponsive neurons in the ventromedial hypothalamus." Brain Research Bulletin. 24. 803-810 (1990)
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[Publications] Kiyohara,T.: "Hypothalamic warmーsensitive neurons possess a tetrodotoxinーsensitive sodium channal with a high O__〜10・" Neuroscience Research. 8. 48-53 (1990)
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[Publications] Shimizu,N.: "Glutamate modulates dopamine release in the striatum as measured by brain microdialysis." Brain Research Bulletin. 25. 99-102 (1990)
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[Publications] Duan,S.: "Hyperpolarizing action of enkephalin on neurons in the dorsal motor nucleus of the vagus,in vitro." Brain Research Bulletin. 25. 551-559 (1990)
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[Publications] Shimizu,N.: "Electrochemical analysis of hypothalamic serotonin metabolism accompanied by immobilization stress in rats." Physiology & Behavior. 46. 829-834 (1989)
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[Publications] Katafuchi,T.: "Central interferonα enhances rat sympathetic nerve activity to the spleen." Neuroscience Letters. (1991)
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[Publications] Hori,T.(Schonbaum,E.& Lomax,P.ed.): "Thermoregulation:Pathology,Pharmacology and Therapy" Pergamon Press,Inc.New York, (1990)
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[Publications] 早石 修監修,堀 哲郎: "ストレス社会と心の健康 第一巻" 世界保健通信社,大阪, 347 (1989)