1988 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白燐酸化酵素の構造と機能:神経情報伝達の分子機構
Project/Area Number |
63440021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 千賀子 神戸大学, 医学部, 教授 (20025571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 高義 神戸大学, 医学部, 講師 (50144564)
谷山 絋太郎 神戸大学, 医学部, 助教授 (70030898)
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Keywords | プロテインキナーゼC / サブタイプ / cAMP依存性プロテインキナーゼ / 制御サブユニット / cAMP結合部位 |
Research Abstract |
ホルモンや神経伝達物質による細胞内情報伝達の仕組みの中で、種々のセカンドメッセンジャーの作用点である蛋白燐酸化酵素の重要性は確立され、特にプロティンキナーゼCは主軸を成す細胞内情報系として注目されている。本研究は神経情報伝達の分子機構の解明のため、プロテインキナーゼC及びcAMP依存性プロテインキナーゼ(Aキナーゼ)を介する細胞内情報伝達系に焦点をあて、次の研究を行うことを目的した。(1)プロテインキナーゼCサブタイプの局在と機能の解析、(2)プロテインキナーゼCサブタイプ特異抑制薬のスクリーニングとシナプス伝達における作用解析、(3)環状ヌクレオチド依存性プロテインキナーゼの遺伝子クローニングと発現細胞系の構築とその特性解析。 (1)についてはγサブタイプに鉄するモノクローナル抗体、βーI及びβーIIサブタイプのそれぞれのC未端オリゴペプチドに対する特異性ポリクローナル抗体を作製し、ラット中枢神経系における各プロテインキナーゼCサブタイプの局在を免疫組織化学的に解析した。サブタイプはそれぞれ異なった分布を示し、これらの分布は現在までに明らかにされているいかなる神経伝達物質、あるいは受容体の分布とも一致しなかった。さらに電子顕微鏡を用いて細胞内局在を調べたところ。これらのサブタイプの局在は非常に異なっていることが明らかになった。脳内分布の結果とあわせると、脳内の各部分や神経細胞において、種々の生理機能はこれらのサブタイプにより分担されていることが示唆された。(2)については神経終末からのノルエピネフリニやGABA等の遊離にプロテインキナーゼとが促進的に働いていることが明らかになった。(3)についてはcAMP依存性プロテインキナーゼ制御サブユニットを大腸菌において発現させ、人工的変異導入によりcAMP結合部位及び結合部位間相互作用を明らかにした。
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[Publications] N.Saito: Pro.Natl Acad.Sci.USA. (1989)
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[Publications] K.Hosoda: Pro.Natl.Acad.Sci.USA. (1989)
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[Publications] A,Kose: J.Neurosci.8. 4262-4268 (1988)
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[Publications] H.Shuntoh: J.Neurochem.51. 1565-1572 (1988)
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[Publications] T.Kuno: Biochem.Biophys.Res.Commun.153(3). 1244-1250 (1988)
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[Publications] N.Saito: 8. 369-382 (1988)