1988 Fiscal Year Annual Research Report
メッセンジャーRNA形成と安定性その翻訳に関係する核小体の機能
Project/Area Number |
63440024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑中 正一 京都大学, ウィルス研究所, 教授 (30142300)
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Keywords | メッセンジャーRNA / RNA輸送 / 翻訳 / 核小体 / ヒトレトロウィルス / 核小体シグナル / タンパク |
Research Abstract |
核小体は、リボソーム合成の場として知られているが、我々は核小体に局在するウィルスタンパクを発見し、これらのタンパクが特にメッセンジャーRNA(mRNA)の形成、安定性、翻訳にいたる過程でどのような役割を果たすかを解明する研究を続けている。 まずヒトのレトロウィルスHTLVーIの核小体タンパク(p27X)がどの様にウィルスmRNAのプロセッシング、安定性、核から細胞質への輸出、翻訳に働いているかを生化学的に研究した。具体的には完全長に転写されたウィルスのRNAが核質でスプライスゾームを形成して重複したスプライスを受けるmRNAと、スプライスを受けることなくウィルスの構造タンパクを作るためのmRNAが、核小体とどの様な関係にあるかを細胞生物学的及び生化学的に検討した。その結果、核小体移行シグナルを持たないp27Xでは、完全長のウィルスRNAが形成されないことを確認した。このことは核小体移行シグナルが完全長のRNAを核から細胞質へ移行するのに必要なシグナルであることを示している。 核小体シグナルには、核への移行シグナルも存在している。この核への移行シグナルだけではウィルスRNAが安定な形で細胞質へ移行できないことも明らかになった。種々の核小体シグナルの変異を作成し、mRNA形成と安定性、その翻訳に関係する核小体シグナル及び核小体の機能を現在検討している。
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