1989 Fiscal Year Annual Research Report
F9細胞の分化に伴なって発現する転写・複製の制御因子の解析
Project/Area Number |
63440027
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 嘉明 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80004612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 洋太 京都大学, ウイルス研究所, 日本学術振興会特別研
佐竹 正延 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (50178688)
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Keywords | F9細胞 / 細胞分化 / ポリオ-マウイルス / エンハンサ- / 転写制御因子 / 複製制御因子 / AP1 / cーHaーrasオンコジン |
Research Abstract |
未分化なF9細胞をレチノイン酸で処理すると、内胚葉様の細胞に分化を誘導することができる。細胞分化に伴なって変動する遺伝子発現・複製の制御因子を解析し、次の結果を得た。 1.F9細胞で増殖できるポリオ-マウイルス変異株F9ー5000のエンハンサ-の、欠損領域に相当するΔF9ー5000エレメントには、転写抑制因子PEBP4が結合する。一方分化誘導したF9細胞では、このエレメントにはPEBP4と同時に転写促進因子と考えられるPEBP2が結合する。アフィニティ・クロマトグラフィ-によりPEBP4を部分精製、又PEBP2の脱リン酸型であるPEBP3を完全精製する事ができた。ΔF9ー5000エレメント上でPEBP2とPEBP4の認識配列は一部重複するが、実際PEBP3とPEBP4が拮抗的に結合する事を観察した。また精製PEBP3の部分アミノ酸配列を決定する事ができた。 2.転写制御因子AP1は核内オンコジン産物であるJUN・FOS蛋白複合体であるが、PEBP1はマウスAP1に相当する。AP1活性の低いF9細胞に活性化cーHaーrasオンコジンを導入する事により、AP1の転写促進活性を誘導する事ができた。そしてそれは内在性cーjun遺伝子の発現亢進によるものである事が示唆された。F9細胞に活性化cーHaーras又はcーjunオンコジンを導入・発現させる事により、原始〜遠位内胚葉の細胞に分化誘導する事ができた。活性化されていないプロトcーHaーrasや、DNA結合ドメインを欠失するcーjunには分化誘導能は認められなかった。以上によりAP1がF9細胞を分化誘導する機能を有する事が明らかになった。
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[Publications] Y.Murakami: "A turnor promoting phorbol ester,TPA,enhances polyomavirus DNA replication by activating the function of the viral enhancer." Oncogene. 5. 5-13 (1990)
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[Publications] K.Furukawa: "A ubiquitous repressor interacting with an F9 cell specific silencer and its functional suppression by differentiated cell specific positive factors." Cell Growth & Different.1. (1990)
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[Publications] Y.YamaguchiーIwai: "Differentiation of F9 embryonal carcinoma cells induced by the cーjun and activated cーHaーras oncogenes."
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[Publications] Y.Murakami: "The nuclear protoーoncogenes,cーjun and cーfos,as regulators of DNA replication"