1989 Fiscal Year Annual Research Report
ハンチントン病の異常遺伝子解明のための新しいDNAプロ-ブの開発
Project/Area Number |
63440034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金澤 一郎 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (30110498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞崎 知生 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60009991)
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Keywords | ハンチントン病 / 第4染色体 / 遺伝子連鎖 / DNAプロ-ブ / D4S10 / D4S43 / 線条体mRNA |
Research Abstract |
ハンチントン病の異常遺伝子座はGusellaらにより第4染色体短腕先端部に局在することが明らかとなり、その部位に起源をもつDNAマ-カ-が10数種類開発されてきた。これらを用いて我々も遺伝子連鎖の検討を行ってきたが、欧米においてもなおハンチントン病の真の病的遺伝子座およびその遺伝子産物に関する結論は得られていない。このようなゲノムDNAだけからのアプロ-チの効率には自ら限界があると考えざるをえない。そこで我々はゲノムDNAは利用するものの、より効率のよい方法を採用し、この問題を少しでも解決に近づけようと本年度の研究を行った。この問題に対するストラテジ-は以下の如くである。(1)まず正常ヒト第4染色体短腕先端部から巨大ゲノムDNAを採取する。これは農水省の池田の開発したレ-ザ-式クロモソ-ムダイセクタ-を用いて第4染色体短腕先端部のみを残して他をすべて焼き切ることにより、目的の部分のみのDNAを回収する。このDNAをPCRにて増巾し新しいDNAプロ-ブを作成する。(2)一方、ハンチントン病で最も病変が早く生じる線条体を正常ヒト脳からえて、mRNAを抽出しcDNAライブラリ-を作成する。(3)以上の2つの方向の研究を結合させ、新しく開発したDNAプロ-ブによりcDNAライブラリ-の中からハイブリダイズするものを選択する。これはハンチントン病の発症にかかわるタンパクをコ-ドする遺伝情報の候補である。本年度は、以上の計画のうち、(1)では第4染色体短腕先端の巨大ゲノムDNAを回収するところまで成功した。また、(2)ではラットにおける基礎実験で意外にも脳のmRNAが死後安定であることがわかり、ヒト線条体から良質のmRNAを採取することに成功した。これらの成果をさらに進め、上記の2つの方向が結合できるものと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ichiro KANAZAWA: "Huntington′s disease.A molecular biology approach" Asian Medical Journal. 32. 18-24 (1989)
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[Publications] 金澤一郎,近藤郁子: "ヒト細胞の芽化と保存ー遺伝性神経疾患の遺伝子の保存とその利用" 細胞工学. 8. s76-s80 (1989)
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[Publications] 金澤一郎: "ハンチントン病の分子遺伝学" 神経研究の進歩. 33. 583-587 (1989)
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[Publications] Conneally,P.M.: "Huntington′s disease:No evidence for locus heterogeneity" Genomics. 5. 304-308 (1989)
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[Publications] Ikuko KONDO: "Exclusion mapping of the hereditary dentatorubropallidoluysian atrophy gene from Huntington′s disease gene" Journal of Medical Genetics. (1989)
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[Publications] Ichiro KANAZAWA: "Studies on DNA markers(D4S10 and D4S43/S127)genetically linked to Huntington′s,disease in Japanese families" Human Genetics. (1989)