1988 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタサイクリン制御系、内皮細胞由来収縮・弛緩因子の構造と機能の解明ー心筋硬塞発症機序の究明
Project/Area Number |
63440036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 忠一 京都大学, 医学部, 教授 (70025659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由井 芳樹 京都大学, 医学部, 助手 (20158330)
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Keywords | 心筋硬塞 / 血栓 / プロスタサイクリン / HDL |
Research Abstract |
我々は昨年血清中の不安定な生理活性物質プロスタサイクリン(PGI_2)を安定化させる物質がHigh Density Lipoprotein(HDL)のアポ蛋白であるApo A-Iである事を明らかにした。本年度は心筋硬塞即ち冠動脈内血栓症の発症機序について検討した。 対象は健常人10例、狭心症11例、不安定狭心症10例、心筋硬塞11例の4群である。心筋硬塞は発症から3.4±1.5時間の急性期、77±14時間の悪急性期に検討した。狭心症においてはPGI_2安定化因子活性とApo A-I値は共に正常値にくらべて低かった。又PGI_2安定化因子活性は不安定狭心症と急性期心筋硬塞において最も低値を示した。これは血中のApo A-I値の低下とHDL中のApo A-IIによるApo A-Iのdisplacement追出しによるものと考えられた。事実in vitroでApo A-IIによりHDL表面のApo A-IIはdisplaceされPGI_2安定化因子の活性は低下した。 結論としてHDL表面のApo A-I、Apo AーIIは以下の2つの方法で血清中のPGI_2の安定化を制御していることが判った。 一つは血清中Apo A-Iレベルの低下が原因でありもう一つはHDL表面のApo A-IがApo A-IIによりdisplaceされる結果であることが判った。 この制御機構は粥状硬化の発生と冠動脈における血栓形成機構に重要な関連をもつと考えられた。
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Research Products
(2 results)