1989 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドの生合成、体内分布及び作用に関する分子生物学的・神経内分泌学的研究
Project/Area Number |
63440042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井村 裕夫 京都大学, 医学部, 教授 (10025570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 一和 京都大学, 医学部, 助手 (00172263)
中井 義勝 京都大学, 医学部, 講師 (10115892)
清野 裕 京都大学, 医学部, 助教授 (40030986)
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Keywords | BNP / ANP / ロイモルフィン / CRF / ACTH / 神経内分泌学 / 視床下部 |
Research Abstract |
神経ペプチドの一つとして新しく見出されたbrain natriuretic peptide(BNP)を中心に検討を加えた。まずBNPのヒト及びラットの構造が不明のため精製を行い、前者は32コ、後者は45コのアミノ酸よりなるペプチドであることを明らかにした。更にラットBNPに対する測定系を確立し、ラット脳では延髄、脊髄に存在することを明らかにした。またBNPをラット脳室内に投与することにより、飲水、食塩摂取、バソプレッシン分泌の抑制が起こることを観察した。以上の事実からBNPは新しい神経ペプチドの一種であることが証明されたが、脊髄における役割は不明である。次にANP、BNPと同様に飲水、バソブレッシン分泌を抑制するロイモルフィンの役割について検討した。オピオイド拮抗剤ナロキソンは種々の分泌刺激に対するバソプレッシン反応を亢進させ、内因性オピオイドが抑制的調節をしていることが明らかとなった。ロイモルフィンの作用機構を明らかにするため視束上核単一ニュ-ロンの自然発火活動への影響を観察したところ、バソプレッシンユュ-ロンの活動を抑制することが明らかとなり、主要な作用点は視床下部神経核と考えられた。次に前にクロ-ニングを行った脳腸管ペプチドGIP、モチリンについて遺伝子構成を明らかにし、GIP遺伝子は他のグルカゴン族ペプチド遺伝子と類似していること、モチリン遺伝子は相同性のある既知の物質はなく、特異な遺伝子であることが明らかとなった。これら遺伝子の脳における発現をNorthern blotで調べたが、有意の発現を認めなかった。更にCRF、ACTHの遺伝子発現の調節とそれに影響する因子について検討し、cyclic AMPがACTH前駆体遺伝子を調節する機構を明らかにした。またインタ-ロイキン1、6がCRFを介してACTH分泌を促進する事実を観察し、現在遺伝子への影響について検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kambayashi,K.,Nakao,K.,Imura,H.et al: "Isolation and sequence determination of human brain natriuretic peptide in human atrium." FEBS Letters. 259. 341-345 (1990)
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[Publications] Yamada,T.,Nakao,K.,Imura,H.,et al: "Effects of naloxone on vasopressin secretion in conscious rats:Evidence for inhibitory role endogenous opioid peptides in vasopressin secretion" Endocrinology. 125. 785-790 (1989)
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[Publications] Naito,J.,Fukata,J.,Imura,H.,et al: "Adrenocorticotropic hormoneーreleasing activities of interleukins in a homologous in vivo system." Biochem.Biophys.Res.Commun.165. 1262-1267 (1989)
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[Publications] Inagaki,N.,Seino,Y.,Imura,H.et al: "Gastric inhibitory polypeptide:Structure and chromosomal localization of the human gene." Mol.Endocrinol.3. 1041-1021 (1989)
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[Publications] Yano,H.,Seino,Y.,Imura,H.et al: "Exonーintron organization,expression,and chromosomal localization of the human motion gene." FEBS Letters. 249. 248-252 (1989)
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[Publications] Usui,T.,Nakai,Y.,Imura,H.,et al: "Cyclic AMPーresponsive region of the human proopiomelanocortin(POMC)gene." Mol.Cell.Endocrinol.62. 141-146 (1989)
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[Publications] 井村裕夫 他: "病態代謝III.新しいオピオイドペプチド leumorphinの代用と存在について" 病態代謝研究会, 106-121 (1989)
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[Publications] 井村裕夫: "現代精神医学大系88ーB神経内分泌学ー特に神経ペプチドを中心に" 中山書店, 245-266 (1988)