1990 Fiscal Year Annual Research Report
種々の不均等な肺病態における肺ガス運搬分布の基礎研究
Project/Area Number |
63440057
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼田 克雄 東京大学, 医学部(病), 教授 (40048947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 宏起 東京大学, 医学部(病), 講師 (40114714)
沢村 成史 東京大学, 医学部(病), 助手
鈴川 正之 東京大学, 医学部(病), 講師 (00162917)
山田 芳嗣 東京大学, 医学部(病), 助手 (30166748)
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Keywords | 不均等肺病態 / 肺ガス運搬分布 / 高頻度換気法 / 片側性気道狭窄 / 片側性ラバ-ジュ / 加増拡散 |
Research Abstract |
人工呼吸の肺内換気分布は、換気数・一回換気量(VT)などの条件によって決定されるが、肺病態が一様でないために生じる換気力学パラメ-タの不均等分布が大きく影響する。抵抗(R)およびコンプライアンス(C)優位の片側性肺傷害の実験モデルを作成し、IPPV・高頻度換気法(HFV)を含む広い範囲で換気条件を変化させ、左右別VT分布の変化に対する影響を検討した。同時に左右別CO2呼出量(VCO2)、呼気CO2分圧、動脈血ガスを測定し、VT分布と肺胞換気(VA)分布の関係を検討した。 [方法]麻酔下の成犬に対し、気管切開孔から、インピ-ダンスが最小になるように考案したダブルル-メンチュ-ブを挿入した。HFVの定常流を排気するために左右の先端から2.5cm手前に小孔がある。1)コントロ-ル、2)片側性気道狭窄、3)片側性ラバ-ジュによるC低下の状態において、IPPV10/min、HFV3、9、15Hzを施行した(VTは各々PaCO2が35mmHg前後となるように設定)。各10分間の換気後、Pawの振幅(ミラ-カテ-テル)、左右別VT(熱線流量計)、左右別VCO2、動脈血ガスを測定し比較した。 [結果]左肺気道狭窄において、HFVではCMVに比べ左右肺へのVT分布は不均等であり、換気数(f)が高くなる程その程度は悪化した。左肺コンプライアンス低下状態では、逆にHFVの方がCMVよりもVT分布は均等であり、fが高いほどVT分布は均等化した。VCO2分布はHFVの高周波数領域で逆に均等化した。このVT分布とVCO2分布の解離は、HFVにおいてVTの大きさによらない加増拡散的ガス運搬機序がfが高くなるにしたがい増強することを示す。種々の不均等肺病態における局所換気フロ-分布とVA分布を同時に評価する方法を開発し両者の関連を明確にしたことは、本研究の重要な成果であり、人工呼吸の新しい開発や換気条件の合理的な選択を行うために必要な基本的情報を提供する。
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[Publications] J.G.Venegas,Y.Yamada,C.Burnham,C.A.Hales: "Local gas transport in eucapnic ventilation:effects of gravity and breathing frequency." J.Appl.Physiol.68. 2287-2295 (1990)
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[Publications] 山田 芳嗣: "CFV(定常流換気)のガス交換メカニズムと並列不均等" 呼吸と循環. 38. 329-336 (1990)
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[Publications] 山田 芳嗣: "人工呼吸の不均等換気分布" 病態生理. (1991)
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[Publications] K.Suzuki,Y.Yamada,S.Sawamura,K.Numata: "Effects of ventilatory modes and variables on regional ventilation in various asymmetric lung abnormalities." J.Appl.Physiol.
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[Publications] 沢村 成史,鈴木 郷子,繁田 正毅,山田 芳嗣他: "重症オレイン酸肺障害に対するHFOの有効性" 麻酔. 39. S367 (1990)
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[Publications] 鈴木 郷子,山田 芳嗣,沢村 成史,沼田 克雄: "不均等肺病変と人工呼吸の換気・ガス運搬分布" 麻酔. 40. (1991)