1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63440071
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
田熊 庄三郎 東京歯科大学, 病理学第一講座, 教授 (60085694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見明 康雄 東京歯科大学, 病理学第一講座, 講師 (00157421)
柳澤 庄三郎 東京歯科大学, 病理学第一講座, 助教授 (10096513)
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Keywords | 弗素症歯 / 琺瑯質結晶 / マイクロラジオグラム / 偏光顕微鏡 / 微小部元素分析 / X線回折 / 高分解能電子顕微鏡 |
Research Abstract |
偏光顕微鏡、マイクロラジオグラム、走査型(SEM)、および透過型(TEM)高分解能電子顕微鏡、微小部元素分析、ならびにX線回折法により、人弗素症歯琺瑯質結晶の解析を行なった。 本実験に供した人弗素症歯琺瑯質の最表層は、比較的高い石灰化度を呈している(高石灰化層)。これに対し、その直下の琺瑯質の石灰化度は極めて低い(低石灰化層)。低石灰化層より深層の琺瑯質のでは再び高い石灰化度を呈している。偏光顕微鏡で観察すると、高石灰化層および深層琺瑯質は負の複屈折性を示しているが、低石灰化層は負の複屈折性を失っている。高石灰化層をSEMで観察すると、大きな柱状結晶(大型結晶)と小さな結晶(小型結晶)が比較的密に分布している。結晶横断像をTEMで観察すると、大型結晶は厚径平均35nm、幅径平均80nmの扁平六角形を示し、その中央にいわゆるcentral dark lineを現わすものが多い。小型結晶の多くは不正ないし正六角形で、その大さきは厚径平均15nm、幅径平均30nmで、その中央にはcentral dark lineが認められない。結晶(001)面の面間隔は、大型の結晶が0.817nm、小型結晶が0.812nmを示すものが多い。低石灰化層をSEMで観察すると、柱状結晶が疎に分布し、小型結晶はほとんど認められない。TEMで見ると、同部の結晶は扁平六角形を示すが、その大きさは最表層のものより小さく(厚径平均20nm、幅径平均70nm)、また結晶中央部に穿孔を見るものや、結晶表面に欠損を伴うものも認められる。高低両石灰化層の移行部では、先の結晶の穿孔部に、あるいは結晶表面欠損部に極めて小さい結晶を沈着させている。微小部元素分析では、最表層部は弗素を高濃度で含み、かつ同部の結晶格子間隔は、X線回折でわずかではあるが水酸アパタイトのそれよりも高角度側に移動していた。低石灰化層に弗素はほとんど含まれていない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yanagisawa.T.;Takuma.S.;Fejerskov.O.: Advances in Dental Research. 3. (1989)
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[Publications] 柳沢孝彰、見明康雄、澤田隆、田熊庄三郎: "エナメル質比較発生学懇話会記録、第1巻" 脇田稔, (1989)