1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63440080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒野 宏人 東京大学, 薬学部, 助手 (40170378)
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Keywords | 生体防御蛋白 / ザルコファガレクチン / 成虫原基 / 二重機能 / 分化 / 昆虫 / センチニクバエ |
Research Abstract |
この研究は、研究代表者が提唱して来た、生体防御蛋白の二重機能性を実証しようとするものである。ザルコファガレクチンは、センチニクバエの幼虫の体壁に注射針で傷をつけた時に、体液中に誘導されるガラクトース結合性のレクチンで、その蛋白的な性質についてはすでに報告済みである。このレクチンが、異物排除を司る生体防御蛋白であることは、幼虫の体腔内に導入した半赤血球の吸収実験から証明されている。すなわち、半赤血球と同時にこのレクチンの抗体、またはハプテン糖であるガラクトースを導入すると、血球の吸収は行なわれず、このレクチンが、血球の排除過程に必要であることが示された。このような生体防御蛋白には、もう一つの別な機能があることを、本研究では、センチニクバエの成虫原基の培養系を使って明らかにした。すなわち、三令の幼虫から摘出した翅および、肢の成虫原基を、変態ホルモンである、20ヒドロキシエクダイソンを含む合成培地で培養すると、三段階に区別される分化段階を経て終末分化段階に到達し、試験管内に、ハエの肢や翅の形態が形成される。このような培養系に、ザルコファガレクチンの抗体、あるいは、ハプテン糖であるガラクトースを添加すると、第二分化段階であるApolysisのステージまでは分化が進行するものの、終末分化段階への到達は認められなかった。抗体の代りに正常のウサギ血清、ガラクトースの代りにグルコースを添加した場合には、分化異常は全く見られなかった。この事実は、ザルコファガレクチンが、成虫原基の分化をコントロールする鍵物質であり、成虫原基自身が、変態ホルモンの働きにより、ザルコファガレクチンを産生している可能性を示唆する。そこで、成虫原基の分化段階を追って、ザルコファガレクチンが出現するか否かを、イムノブロッティング法により検討した。その結果、Apolysisの時期に、成虫原基がこのレクチンを産出することが確認された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shunji Natori: Drugs of the Future. 13. 59-68 (1988)
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[Publications] Keiichi Ando: Biochemistry. 27. 1715-1721 (1988)
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[Publications] Akihiro Shiraishi: FEBS Letters. 232. 163-166 (1988)
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[Publications] Yoshiaki Ohkuma: Journal of Biochemistry. 103. 402-407 (1988)
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[Publications] Kenji Matsuyama: Journal of Biological Chemistry. 263. 17112-17116 (1988)
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[Publications] Kenji Matsuyama: Journal of Biological Chemistry. 263. 17117-171121 (1988)
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[Publications] Hiroto Komano: "Invertebrate and Fish Tissue Culture" Japan Scentific Societies Press,Tokyo, 75-78 (1988)
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[Publications] Akihiro Shiraishi: "Invertebrate and Fish Tissue Culture" Japan Scientific Societies Press,Tokyo, 119-122 (1988)