1988 Fiscal Year Annual Research Report
家族性アミロイドポリニューロパシーの発症機構に関する研究
Project/Area Number |
63440082
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山村 研一 熊本大学, 医学部, 教授 (90115197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 文 熊本大学, 医学部, 助手 (40136213)
宮崎 純一 熊本大学, 医学部, 助教授 (10200156)
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Keywords | 家族性アミロイドポリニューロパシー / トランスサイレチン / 血清アミロイドP成分 / トランスジェニックマウス / アミロイド |
Research Abstract |
昨年度迄に作製した2系統のマウス、即ち自身のプロモーター領域を600塩基対迄持つヒト変異トランスサイレチン遺伝子(0.6ーhTTR30)とメタロチオネインプロモーターを持つもの(MTーhTTR30)について更に年令を追ってアミロイド沈着を解析した。0.6ーhTTR30導入マウスにおいては、生後15ヶ月で始めて小腸粘膜に僅少の沈着が認められた。その後年令とともに沈着部位は、腎、心、皮膚へと広がり、量的にも増大した。解析したのは血中濃度が1〜3mg/dlのマウスであるが、同一の血中濃度であるにも拘らずアミロイド沈着が認められたものとそうでないものとがいた。一方、MTーhTTR30においては、生後6ヶ月頃より沈着が始まり、その後年令とともに沈着量は増大するとともに、腎、心、皮膚等の組織にも沈着が認められた。06ーhTTR30と比較すると同一年令では沈着量は多いと考えられた。この系においても、血中濃度は1〜5mg/dlのマウスを用いており、沈着開始時期及び量的差は総血中濃度に帰因するものではなく、おそらくhTTR30よりなるホモテトラマーの量的差によると考えられた。また、いずれの系においてもアミロイド沈着の雌雄差はみられなかった。マウス内因性の血清アミロイドP成分(SAP)の濃度は、雌が雄の6倍であることを考えると、マウスSAPはhTTR30とともアミロイドとして沈着はしているものの、沈着速度や量を決定しうる因子ではないと考えられる。更に、血中にhTTR30が存在するにも拘らずアミロイドの沈着のみられないマウスが存在することは、沈着には他の要因が大きく関与する可能性があることを示唆している。しかしながらFAP患者の最大の特徴である未梢神経には全くアミロイド沈着が認められていない。この原因として、発現レベルが低いためあるいは脳の脈絡叢における発現レベルが低いため等が考えられる。現在、この点の解析を試みている。
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[Publications] Wakasugi,S.;Iwanaga,T.;Inomoto,T.;Tengan,T.;Maeda,S.;Uehira,M.;Araki,K.;Miyazaki,J.;Eto,K.;Shnada,K.;Tamamura,K.: Dev.Genet.9. 203-212 (1988)
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[Publications] Yamamura,K.;Wakasugi,S.;Iwanaga,T.;Inomoto,T.;Maeda,S.;Shimada,K.: Cell Diff.Dev.25(Suppl). 47-52 (1988)
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[Publications] Iwanaga,T.;Wakasugi,S.;Inomoto,T.;Uehira,M.;Ohnishi,S.;Nishiguchi,S.;Araki,K.;Uno,M.;Miyazaki,J.;Maeda,S.;Shimada,K.;Yamamura,K.: Dev.Genet.