1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中田 英雄 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (80133023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 洋一 国立身体障害者リハビリテーションセンター, 生活訓練課, 生活訓練専門職
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Keywords | 盲人 / 白杖歩行 / 筋電図 / 中途失明者 |
Research Abstract |
盲人の歩行は、視覚情報が欠如している点と白杖を使用するという点できわめて特異な歩行様式であると考えられる。盲人の歩行様式の特徴を明らかにするために、歩行中の筋活動と膝関節角度を測定するとともに、フットスイッチを用いて足の接地と離地の時間についても測定した。被検者は晴眼者男性11名と女性9名(年齢23〜34歳)であり、中途失明者は男性5名(年齢42〜54歳)である。被検者は10mの直進歩行を行なった。筋電図は、右脚の前脛骨筋、腓腹筋、大腿直筋、大腿二頭筋から表面双極誘電法を用いて導出した。晴眼者の開眼歩行では、前脛骨筋と腓腹筋は拮抗筋として活動しているが、遮眼されると前脛骨筋に終始持続的な筋放電が認められた。また、遮眼時の腓腹筋の活動は、開眼時の活動と比較して低下したが、大腿直筋の活動は顕著になった。つまり、遮眼条件下では、晴眼者は歩行姿勢を変化させ、環境に適応するように歩くことがわかった。その歩行はいわばadaptive gaitと呼ぶことができる。中途失明者の白杖なしの歩行においては、晴眼者の遮眼条件と類似した前脛骨筋の持続的な筋放電と大腿直筋の顕著な筋放電が認められた。この結果は、中途失明者の歩行の特徴として指摘することができる。次に、膝の関節角度について中途失明者と晴眼者を比較した結果、両者の間に有意差は認められなかった。歩行速度についても両者の間に有意差は認められなかった。中途失明者の歩行速度を介助者がある場合、白杖を持って歩いた場合と白杖を持たないで歩いた場合に分けて測定した。その結果、介助歩行、白杖歩行、白杖なし歩行の順に歩行速度は速くなった。今年度の研究では、中途失明者の歩行時における下肢筋活動の様式に特徴が認められた。来年度は、白杖を持った手・腕の筋電図の測定とともに先天性盲人についても測定する計画である。また、床移動装置を用いた測定も行なう計画である。
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[Publications] 中田英雄,坂本洋一: 総合リハビリテーション.
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[Publications] 中田英雄,坂本洋一: 特殊教育学.