1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450021
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
相馬 一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (00063488)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根建 金男 早稲田大学, 人間科学部, 専任講師 (20156160)
坂野 雄二 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (10134339)
山崎 勝男 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (40084579)
野呂 影勇 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (70122851)
春木 豊 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80063551)
|
Keywords | 健康の心理的要因 / 健康感尺度 / 意欲 / 行動習慣 / 認知的対処 |
Research Abstract |
健康感尺度作成のため10月までに健康感・不健康感がどのようなとき生ずるかの調査および健康感に関係すると思われる尺度項目の収集が終了した。その結果、健康感・不健康感を持つのは必ずしも体調のみに限らないこと、あることで健康感を持つものは、それが具合が悪くなったときに不健康感を生じやすいことなど把握できた。また、年齢的には健康感・不健康感があまり違わないことも指摘できた。これらに収集した項目を加え、44項目から成る健康感に関する調査票が作成され、成人・大学生423名を対象に調査が実施された。分析結果から、健康感は体調・意欲・気分・生活(行動)習慣の4因子から構成されていることが分かった。現在、健康感尺度の構成について最終的な検討を行っている。 これと並行して、精神的健康度と情緒的側面を精神生理学的に検討するため、老人を対象として社会的自信度調査LawtonのPGCモラールスケールを実施した。老人大学受講者男女25名(平均年齢66歳)と神経科外来受診患者男女13名(平均年齢68歳)の2群の得点を比較した結果、受講者群を患者群に比べて、情緒的に安定し、高い達成動機を有する意欲のある老人群であることが判明した。両群に対して、ポリグラフィを安静時下と、1000Hz、95dB、1secの音刺激提示下に施行し、音刺激に対する皮膚電位反応(SPR)の慣れと、SPR波形を調べた結果、受講者群は患者群に比較して、慣れが有意に遅く、心的活動性の亢進時に生ずる陽性波や陰陽二相性波が有意に多いことを確認した。一方安静時の自発性SPRの変動は群間に差がなかった。これらの結果から、意欲の高い老人群は状況に応じて、高い心的活動性を精神生理学的に示すとの結論を得た。現在は同様な方法を用い、意欲が極端に低下しているうつ病患者と一般健常成人との対比を検討している。健康感を具体的場面で考えるため、職場環境における健康の心理的要因の分析と調査について検討している。
|