1988 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者コミュニティにおける高齢者の生活適応の現状と適応プロセスに関する研究
Project/Area Number |
63450031
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松村 孝雄 東海大学, 文学部, 教授 (10107526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 亘 桃山学院大学, 社会学部, 助教授 (30162077)
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Keywords | 有料老人ホーム / RETIREMENT COMMUNITY / 生活適応 / AGING-CONSCIOUSNESS |
Research Abstract |
本年度の研究は有料老人ホーム入居者へのインタビュー調査にあるが、ホームを、その立地条件から都市型・郊外型・田園型に分類し、それぞれから設置年度が古く規模の大きいホーム3ホーム、計9ホームを選択し、各ホームで、夫婦、男性単身者、女性単身者にインタビュー調査を実施した。調査に当たっては質問マニュアルを作成したが、調査項目とは、個人の過去及び現在の属性、ホーム入居に関する問題、入居後の適応問題、ホーム内・外での日常生活、将来不安、生活適応のための諸条件などである。 調査結果から得られたいくつかの知見を要約してみよう。 入居者は、自分の居住するホームで均衡関係を維持するような形で自らが規定した"SELF"に基づいてライフスタイルを構造化する傾向にあるが、その"SELF"がホーム入居以前の"SELF"と連続的かどうかという社会心理条件、及びそれを実現できるような生活環境が見いだされるかどうかというホームの社会環境特性が、生活適応のもっとも重要な要因であるようである。 入居動機は、主として、家族や過去の人生からの逃避型と、老後をエンジョイしようとする積極自立型に分けられるが、有料老人ホームは両者に適応の機会を与えることができる。しかし、それぞれにふさわしいタイプのホームがあるようで、入居金の多少、ホーム規模の大小、ホームの立地条件という3つの客観的指標もホームのタイプ分けにかなり有効に機能しそうである。 入居初期の生活行動がその後の生活適応を左右することは事実であるが、大規模ホームではそれが決定的意味を持つとはいえないようである。そこでは生活様式や人間関係の選択肢が広く、やり直しは可能だと思われるからである。 生理学的年齢というより上述の"SELF"、なかでも健康に対する主観的認知の仕方が、AGING CONSCIOUSNESSと関連しており、ホームでのライフスタイルを規定する大きな要因になっている。
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Research Products
(2 results)