1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450036
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
飯高 京子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40014716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 秀嗣 国立教育研究所, 所員 (70103702)
上野 一彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20012578)
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Keywords | 文字習得過程 / 縦断および横断研究 / 3ー5歳の健常児 / 特殊学級児童 / 手書き文字判断システム / 教育工学的手法 |
Research Abstract |
本年度は最終年度として報告書作成を目標に以下の検討を行った。 1)読み書きのレデイネスに関する基礎調査の継続とまとめ まず、「自分の名前の読みと書字」という、幼児にとって親しみやすく早期から習得される課題を取り上げ、年少、年中、年長児群各30名、計90名を対象に、音韻分解を基礎とした読みと書字の習得過程を検討した。その結果、年少児では、(1)名前の書字も音韻分解も出来ないから(2)名前は書けないが音韻分解は出来るが主であり、年長児になると(5)名前の書字も音韻分解もできる反応が全体の8割を占めた。年少から年中にかけて文字の模写課題に著しい伸びが見られ、年中から年長にかけて、名前の書字、文字の読み、文字・図形の同定に大きな伸びが見られる。次に特殊学級児童35名についての調査では、自分の名前は練習によりほぼ全員が書けている。しかし、簡単な図形の同定と視写課題の得点は低く、視覚的な認知能力に問題のあることが示唆された。 2)これらの知見をふまえ、特殊学級児童の書字にかんする発達資料を過去5年間にさかのぼって検討し、今回の調査を支持する結果を得た。 3)手書き文字判断システムの応用化への検討 すでに、堀口によって開発された手書き文字判断システムを実際の教育指導場面に適用するため、健常および障害児の書字の習得過程を詳しく分析し、各文字を構成要素への分類方法を検討した。これまでの研究(国立国語研究所1972)では、書字の結果を文章定義によって分類しようと試みている。しかしこの方法では検者間の一致度は低く、客観的手法になり得ない。そこで幼児や障害児の書字の習得過程において、彼らが視覚的に把握する構成要素の抽出を試みた。その結果を参考に、教育工学的手法による文字判断システムの作成を検討した。
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[Publications] 崎原 秀樹・飯高 京子: "書字発達についての基礎的研究 (1)関連諸能力の発達傾向および相互関連について" 第28回日本特殊教育学大会発表論文集. 440-441 (1990)
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[Publications] 飯高 京子・長崎 勤: "コミュニケ-ション障害児の言語能力の発達予測に関する研究" コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究 文部省科学研究費補助金重点領域研究発表論文集. 93-94 (1991)
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[Publications] 上野 一彦・服部 美佳子: "学習障害の基本症状について" 第28回日本特殊教育学大会発表論文集. 568-569 (1990)
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[Publications] 上野 一彦・服部 美佳子: "学習障害の概念と実態に関する考察" コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究 文部省科学研究費補助金重点領域研究発表論文集. 73-74 (1991)
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[Publications] 堀口 秀嗣: "コ-スウェアの互換制・移植性への提言" 日本教育工学会第5回大会講演論文集. 13. 155-156 (1989)
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[Publications] 堀口 秀嗣: "形式の異なるデ-タを相互利用するためのツ-ルの開発" 日本科学教育学会年会論文集. 293-294 (1989)
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[Publications] 飯高 京子・堀口 秀嗣他: "「文字習得過程に関する基礎的研究」 文部省科学研究費補助金一般(B)研究成果報告書" (1991)
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[Publications] 堀口 秀嗣編著: "FACIによる学習ソフトの作成法V2.1対応版" 文渓堂, 198 (1991)