1989 Fiscal Year Annual Research Report
産育と教育の日本社会史に関する根本資料の調査・収集とその比較研究
Project/Area Number |
63450037
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中内 敏夫 一橋大学, 社会学部, 教授 (70017135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久冨 善之 一橋大学, 社会学部, 助教授 (40078952)
関 啓子 一橋大学, 社会学部, 助教授 (20107155)
藤岡 貞彦 一橋大学, 社会学部, 教授 (30012553)
|
Keywords | 社会史 / 家族 / 教育 / 産育 / 共同体 |
Research Abstract |
県・市段階のものをおえて、本年度は全国町村段階(ただし半数)の公的機関(町・村教育委員会、郷土資料館、公民館等)が掌握している産育と教育の社会史関係資・史料の調査をおこない。可能なものについては収集をおこなった。 その結果、この段階のものになると、かなりの量のものがあるにもかかわらずほとんど印刷されておらず、また利用もされてないことがわかってきた。しかしながら、日誌、備忘録、書簡、遺言書等さまざまの形式にわたるこれらの社会史関係資・史料が、産育や教育の分野だけにかぎらず、経済・労働活動、信仰、娯楽などの面でも、それぞれの時代に、それぞれの地域を生きてきた国民の日常的なそれらのあり方を今日に伝える貴重な資料であることは疑うべくもない。それらの記録者は、旧士族、農民たちに加えて、商家の主人、職人、奉公人・労働者にまでわたっていて、これらの記録を通して、われわれには、歴史における匿名層といわれてきた人びとの、考えてきたこと、おこなおうとしたこと、おこないえなかったこと、その願いと生きざまの数々を、ほかならぬ当人の側からとらえて、理解してゆくことが可能になってくるのである。 これら私(家)文書の重要性は各国社会史家によってはやくから指摘され、欧米では、職業別、性別、地域別等々に分類されたこれらの史料の目録が、すでに数多く公刊され、利用に供されている。わが国にあってもこれらの整理がすすめられ、私(家)文書館(室)とでもいうべきものが、公文書館とならんで設立されるようになることをのぞんでやまない。
|
-
[Publications] 中内敏夫: "発達社会史ノ-ト(3)史料論-ブロ-デル「物質文明」論およびブルデュ-「ハビトゥス」論について-" お茶の水女子大学心理・教育研究会『人間発達研究』. 14. 30-33 (1989)
-
[Publications] 中内敏夫: "「教育運動」の社会史の構想" 彷書月刊. 2-3 (1989)
-
[Publications] 関啓子: "ソヴェ-トにおける教育の再編" 一橋大学研究年報 社会学研究. 27. 173-230 (1989)
-
[Publications] 関啓子: "岐路に立つソビエト教育-再生への模索" ソビエト研究所ビュレティン. 4. 26-28 (1989)
-
[Publications] 久冨善之: "ケ-ス・スタディ『豊かさ』の底辺を生きる" 教育. 6-18 (1990)
-
[Publications] 久冨善之: "教員文化の社会学的研究(新報)" 多賀出版, 1-285 (1990)
-
[Publications] 中内敏夫,他: "だれでもできる到達度評価入門" あゆみ出版, 23 (1989)
-
[Publications] 藤岡貞彦,他: "教育科学入門" 大月出版, (1990)