1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450044
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
田中 真砂子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (00141466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義江 明子 千葉大学, 教育学部, 非常勤講師
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Keywords | 家制度 / 菅島 / 年令階梯 / 祖霊 / 盆行事 / 両墓制 / 祖先供養 |
Research Abstract |
1.埋墓・詣墓の家毎の区画分布と詣墓石塔銘の悉皆調査はほぼ終わり現代の家筋との対応も大体明らかになりつつある。本家分家による同族のまとまりや家格を反映するような分布の特色はほとんど見出せず、この菅島の同族関係・家格観念の乏しさと対応していることが予想される。 2.過去帳・宗旨改帳・墓籍簿等と詣墓石塔銘との照合はまだ半分ほどであり、まとまった見通しを得るには至っていない。 3.盆行事の観察・聞取りから、村に関わる祖霊は村全体で手厚く供養するという祖先供養観の特色、埋墓・詣墓・仏壇のそれぞれに対応して何重にも行われる精霊迎え・精霊送りと村人の供養儀礼の微妙な使い分けの状況が浮き彫りになった。また、かつては宗派を異にする二つの寺院による盆行事の分担があり、一寺(密教系)の廃寺の後も、行事自体は廃絶することなく残る一寺(禅宗)が受けつぎ現在に至っていることも明らかとなった。これらの事実に見られる供養の特色は、"埋墓=捨て墓、詣墓=供養のための墓"という従来の両墓制をめぐる議論に見直しを迫る内容を含んでいる。 4.トーヤ関係・寺関係の文書史料は現在整理中である。これにより、祖先供養をめぐる、村の自治組織(元老会・中老会)と寺との関係を具体的に明らかにすることが次年度以降の課題である。 5.若者の結婚難、伝統的祖先供養観に対する寺側からの指導や外部との接触による変化など、現代的変容の激しさが顕著にうかがえ、今後の変化の方向をみきわめていくことも重要な研究課題である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田中真砂子: 『国立歴史民俗博物館研究報告』.
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[Publications] 田中真砂子: 『比較家族史研究』.
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[Publications] 義江明子: 『国立歴史民俗博物館研究報告』.
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[Publications] 田中真砂子・義江明子: 『国立歴史民俗博物館研究報告』.
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[Publications] 義江明子: "「古代村落生活と女性-家族・労働・祖先供養-」女性史総合研究会編『日本女性生活史』巻1" 東京大学出版会,