1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450053
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
大島 直行 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80117605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 基 北海道文化財研究所, 研究員
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70209617)
石田 肇 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70145225)
百々 幸雄 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50000146)
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Keywords | 続縄文時代 / 恵山文化 / 貝塚 / 墓址 / 改葬墓 / 骨角器 / 貝製品 |
Research Abstract |
昨年にひきつづき、北海道伊達市有珠町所在の有珠10遺跡の発掘調査を実施した。当初の調査目的にしたがい、その成果を記す。 1.続縄文恵山期の墓について:昨年からの精査をひき次いだ墓2基の他、新たに2基の墓を発見した。いずれも恵山期の改葬墓である。 当初より問題となっていた改葬の要因については、その検出例から判断して、かなり風習的に行なわれていたことが予測されてきた。今後は、さらに本州の改葬例とも比較しながら慎重に分析を進めたい。 2.縄文晩期の貝層について:今調査のもうひとつの目的は、縄文晩期の貝層の調査を通して、従来資料的に不十分であった該期の骨角製品、特に銛頭を中心とする狩捕・漁撈貝を充実させ、恵山文化の銛頭との系譜関係を明らかにする点にあった。 しかし、今回の調査では、調査面積が16m^2と少ないこともあってか期待した成果が得られなかった。そうした中で、4点検出したオ-プンソケットの銛頭の中に、恵山文化期の銛頭にみられる装飾が、萠芽的に出現していることが明らかになった点は収穫であった。 3.周辺文化との関連性:昨年、一昨年の調査資料を整理してゆく過程で、恵山期の遺物の中には多数の南海産あるいは暖海産の貝製品の含まれていることが明らかになり、にわかに弥生文化との関連性がクロ-ズアップされてきた。従来指摘されてきたように、極東方面の文化との関連性もあり、恵山文化が予想以上に複雑な文化の形成過程を内包している可能性がでてきた。
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