1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450055
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
松浦 宥一郎 東京国立博物館, 学芸部考古課, 先史室長 (00165763)
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Keywords | 弥生時代 / 石器 / 石包丁 / 片刃石斧 / 壷棺 / 再葬墓 / 水稲農耕 / 東日本 |
Research Abstract |
昭和63年度と同様、まず研究の基礎資料としての東日本における初期弥生時代の石器の集成をはかるべく、東日本の各県別遺跡毎に報告書より石器資料を抽出し、また資料を保管、所蔵している資料館・博物館、各県市町村の教育委員会等に出張し、資料の熟覧、観察による記録、実測図の作成、資料の写真撮影等を実施し、それらの現地調査を含めて、資料をカ-ド化し、基本台張を作成するという作業を行なった。 今年度の現地調査は意外に早く水稲による稲作農耕が開始されたといわれる東北地方の青森県の県立郷土館、県埋蔵文化財センタ-、田舎館村教育委員会、八戸市博物館、秋田県の県立博物館、同埋蔵文化財センタ-、岩手県立博物館、山形県立博物館、同県致道博物館等を中心に、その他宮城県、福島県、新潟県、神奈川県、静岡県等にわたって実施した。その結果、磨製石包丁が福島県、山形県、青森県等に分布していることが判明し、初期弥生土器のみならず農耕に関わる石器においても、北部九州との関連性を有する可能性が高くなった。他に片刀石斧等も多く出土しており、大陸を含めて西日本の弥生文化との関係が問題となって行くであろう。また、東北地方における縄文時代晩期の石器と弥生時代初期の石器とではその組成に相異があり、かつ磨製石包丁を初めとする西日本におよび大陸性石器の出現に見られるように、石器群の交替という現象が看取されるが、その交替期が弥生土器の編年の上でどこに位置するかという問題が新たに提起されるであろう。 なお、昭和63年度に発掘調査を実施した東京都西多摩郡五日市町網代弁天洞穴遺跡の出土品の整理を実施した。
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