1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450097
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
草深 直臣 立命館大学, 法学部, 教授 (60077112)
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Keywords | 戦後改革構想 / 非軍事化と民主化 / 近代化と組織的自律 / 住民自治と行政的援助 / 「新体育」と生活体育理論 / 体育実践の理念と実際 / CIE文書による実証 |
Research Abstract |
1、本研究は占領期における戦後改革構想を、GHQ/CIE文書の分析を中心に解明するものであり、初年度として、主として、昭和20〜22年の初期「非軍事化」構想、「民主化」の準備形成過程、並びに占領期全般の基礎的資料収集・分析にあたった。これを通じて、次のような点が新たに判明した。 (1)武道の禁止については、「非軍事化」構想を基軸にしつつも、学校と学校外では決定的に差異があり、個々の種目については軍事色のみならず神道的儀式色の払拭のなかで、スポーツ化が準備されていたこと。このことは、「武道とは何か」の根本問題を内包していたこと。 (2)第一次教育使節団報告書については、囲員であるマックロイ博士と見解の相違があり、このことが指導要綱(領)作成に少なからず影響を与えたこと。また、それ故に「報告書」を唯一の指標とすることは考慮する必要がある。さらに、学校の体育実践については、理論、理念問題以上に、施設、用器具が決定的役割を果たしており、この点を抜きにした歴史的評価は不可能である。 (3)スポーツ改革については、昭和前期以来の論争ースポーツ組織の活動形態、内容々び基盤が問われたのであるが、学校を除いて地域的基盤とその近代的自律性が不明確なまま、全国的競技大会を中心としたモラル的啓蒙を重視したことが特徴であり、その弱点が「国際化」のなかで「逆コース」にからめとられる要因の一つとなっていたこと。 2、また、当時者との証言を通じて、文書・資料以上の具体的事実や構想にかかわる人的関係や構図が判明したので、1989年度は改革の実施段階である昭和23〜25年度を中心に、ターニングポイントに至る要因を具体的に検討する計画であり、また、収集資料文献目録を発表する予定でいる。
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