1988 Fiscal Year Annual Research Report
純セシウム・アイオダイドクリスタルを用いた高速・高分解能ガンマ線検出器の開発
Project/Area Number |
63460015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
逸見 康夫 京都大学, 理学部, 助手 (50025441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 詔生 京都大学, 理学部, 助手 (00025462)
三宅 弘三 京都大学, 理学部, 教授 (60025260)
笹尾 登 京都大学, 理学部, 助手 (10115850)
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Keywords | 純セシウムアイオダイド / 高速高分解能ガンマ検出器 / 電磁カロリメーター |
Research Abstract |
本研究の目的は、純セシウムアイオダイドを用いて高速・高分解能ガンマ線検出器を製作し、その性能をテストする事にある。純セシウムアイオダイドをガンマ線検出器として用いた例は今までのところ存在しない。従ってこの結晶の性質をあらゆる角度から試験し、検討しなければいけない。本年度は、(1)放射線同位元素を用いてその基本的な発光特性を調べる、(2)結晶の温度特性や圧力特性を調べる、(3)結晶の放射線による発光特性の劣化を調べる、等を目標にした。その結果以下の知見が新たに得られた。速い成分は、ピーク波長310nmで減衰時間は10nsecである。このシンチレーション光の発光量は、NaI(Tl)シンチレーターの発光量の約4%である。遅い成分は波長400nm以上で、減衰時間は1μsecより長い。この成分の発光量は、結晶中の不純物の量や結晶の製作過程に依存する。速い成分と比較すると、遅い成分の発光量は同程度またはそれ以下である。遅い成分も速い成分も発光量に温度依存性があり、室温(30℃)では、-1.5%/℃である。50kg/cm^2程度の圧力下では発光量は変化しない。Co^<60>により放射線損傷を調べたところ、10^3rad程度から発光量の低下が観測された。以上の俊的性能試験に基ずいて、実際のガンマ検出器を試作し、高エネルギー電子ビームを照射してエネルギー分解能を測定した。結果は1GeVで約2%であった。 来年度は、高エネルギービームを用いて(1)位置分解能の測定、(2)π/e分離度の測定、(3)エネルギー分解能の入射位置入射角度依存性、等を試験する計画である。
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