1989 Fiscal Year Annual Research Report
分散型角度分解逆光電子分光法の開発と固体の非占有電子状態の研究
Project/Area Number |
63460024
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 隆 東北大学, 理学部, 助手 (00142919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 省三 東北大学, 理学部, 助教授 (60133930)
鈴木 章二 東北大学, 理学部, 助手 (10091703)
|
Keywords | 逆光電子分光 / 電子状態 / 斜入射分光器 / 高温超伝導体 |
Research Abstract |
1.新型電子銃を製作した。新しい電子銃は、BaOカソ-ドからピアス型電極で引き出した電子線を4枚の電子レンズで平行化し、集束する。この改良により、電子電流が2倍に、エネルギ-分解能が2倍向上し、角度分解能も約1.5倍向上した。 2.上記の新型電子銃を用いて高温超伝導体試料を測定した。 (1)高温超伝導体でド-プされたホ-ル量を変化させた試料について逆光電子分光スペクトルを測定した結果、フェルミ準位上の非占有電子状態密度がホ-ルのド-プ量の増加とともに単調に増加する事を見出した。この事は、フェルミ準位付近の電子状態がバンド計算から予測される-電子的状態では無く、一種の不純物状態である事を示している。 (2)高温超伝導体単結晶試料について角度分解逆光電子スペクトルを測定した。その結果、角度分解光電子分光で見出されているフェルミ準位を横切る占有バンドにつながっると思われる非占有バンドを見出した。 3.分散型高収率分光システムの製作と調整を行なった。 本分光システムは、入射スリットの位置に試料を置き、トロイダルミラ-で集光して回折格子に入射させる斜入射型である。反射素子(トロイダルミラ-)を使用する事による光強度のロスは、回折格子による収差の減少に伴う集光効率の増加によりカバ-し、さらにチャンネルプレ-トによる多重検出を行なう事で、より検出効率を高めている。この高収率分光器は10〜70evの光の分光・検出が可能であり、調整完了後、光エネルギ-の励起断面積の違いや共鳴効果を利用して、高温超伝導体およびf電子系物質の非占有電子構造のより精密な研究を行う計画である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Ohta,T.Takahashi,K.Murata,H.Matsuyama,S.Suzuki et al: "Inverse photoemission study of Bi_2Sr_2CaCu_2O_8" PhysicalReview. B39. 7354-7355 (1989)
-
[Publications] T.Takahashi: "Strong Correlation and Superconductivity,Photoemission,Inverse photoemission,and X-Ray Absorption Spectroscopies of Bi_2Sr_2CaCu_2O_8" Springer-Verlag, 10 (1989)