1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江尻 有郷 東京大学, 教養学部, 助手 (70012383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 崇夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (60012374)
波田野 彰 東京大学, 教養学部, 助手 (10012395)
中川 和道 東京大学, 教養学部, 助手 (00134403)
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Keywords | 多層膜 / 量子井戸 / 量子閉じ込め効果 / 量子井戸励起子 / 界面 / 界面混晶 / ブルーシフト |
Research Abstract |
リード・オージェ分析器を具備した多層膜試料キャラクタリゼーション実験槽は今年度内の完成をめざして製作中である。光学的吸収スペクトルで観測されたアルカリハライド多層膜の量子井戸効果に関しては一段と理解が深められた。まず、アルカリハライド蒸着薄膜の膜状については、透過型電子顕微鏡観察により、KBr50〓、100〓、200〓等の膜は全て多結晶回折像を示すと同時に、50〓膜で300〓〜800〓サイズの粒子が70%の占有率を有し、より厚い膜はより連続性を増し、80〜95%の占有率になることから、二次元的にはバルクとみなせる多結晶薄膜と結論した。次に、量子閉じ込め効果に重大な影響をもつと予想された膜間界面の混晶化とスペクトルの関数をRbcl(バリア)-KBr(井戸)やKCL(バリア)-KBr(井戸)シリーズで層数を一層から五層に変えたり、バリア層と井戸層を熱処理したりした試料の吸収スペクトルを測定して調べた結果、界面に混晶が形成されることと量子井戸励起子のブルーシフトが深く関連していることが判明した。界面混晶の効果は(1)界面のポテンシアル壁が方型からSin型に変形し、必然的に井戸層の基底状態は上昇し、吸収端又は励起子バンドはブルーシフトする。(2)井戸層厚が実質的に減少し、量子井戸励起子運動エネルギーは増加してブルーシフトする、等が考えられる。実験的に(1)の効果は二層膜(バリア層上に井戸層を蒸着)で観測された。以上の知見を基に、今後は、界面混晶化を制御した多層膜に関して、膜厚とブルーシフトの大きさの関連を調べていく。 金属量子井戸効果は、上記実験槽の完成を待って、本格的多層膜試料作製を始める。
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[Publications] 江尻有郷: Activity Report of Molecular Science Laboratory. (1989)
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[Publications] 江尻有郷: Actwity Report of Syncheotron Radiation Laboratory,ISSP,University of Tokyo. (1989)