1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460029
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
壽榮松 宏仁 東京大学, 理学部, 教授 (70013513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 洋一 東京大学, 理学部, 助手 (60190899)
小間 篤 東京大学, 理学部, 教授 (00010950)
|
Keywords | 黒鉛上の単原子層結晶 / 物理吸着層の構造相転移 / 2次元格子の安定性 / 酸素単分子層結晶の磁化 / 酸素単分子層のμSR / ファン・デア・ワールスMBE / 層状結晶上のエピタキシャル成長 |
Research Abstract |
今年度は、結晶作成及び評価のための設備の整備、および二、三の単原子層結晶の構造及び磁気的性質の研究を行った。 酸素、ヨウ素、臭素等の単分子層およびXe等の希ガス単原子層結晶は、精密な蒸気圧調節による剥離黒鉛上への物理吸着に依って、層の厚さを制御し成長させる技術を確立した。これら2D結晶格子の融解など構造安定性の研究が、ガス系統を組み込んだ低温クライオスタットおよびPSPC検出器を用いたX-線回折によって行なえるに到った。SQUIDによる高感度磁化測定装置は、10^<-3>emuを温度2-300K、磁場強度10uT-2Tで測定できるに到った。 ファン・デア・ワールスMBEによる結晶は、マイカなどの多様な基盤結晶に拡張することに成功した。従来用いていたNbSe_2等に比べ、マイカはよい絶縁体であり、単原子層結晶そのものの電気的性質の抽出測定に特に重要な意義があるものと思われる。 酸素分子層2D結晶の磁気的性質については、被覆率を広い範囲(c=0.5〜20)に渡って帯磁率及び磁化過程の精密測定をおこない、二D酸素分子層の融解転移に伴う磁気異常、およびc>4.6にたいしバルク3D酸素の反強磁性転移に伴う異常が観測された。酸素分子層結晶の面内及び垂直方向の帯磁率、およびその積層c依存性を初めて正確に決定した。しかし、従来の中性子回折実験で報告されている2D結晶の磁気相転移にともなう異常は観測されなかった。一方、プローブ時間の短いμ中間子スピン共鳴の実験では、スピン緩和時間は2D結晶の磁気転移温度以下で減少し、Tn以下での磁気的秩序状態を示唆するが、S/N比がなお不十分であり今後の実験を待たざるを得ない。しかしこの動的測定手段によって、酸素分子層の磁気秩序状態が動的性質を持つ可能性を示した点で重要である
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] N.Metoki;H.Suematsu: Physical Review. B38. 5310-5325 (1988)
-
[Publications] H.Hong;C.J.Peters;A.Mak;R.J.Birgeneau;H.Suematsu: Physcal Review. (1989)
-
[Publications] H.Suematsu;K.Suda;N.Metoki: Synthetic Metals. 23. 1056-1062 (1988)
-
[Publications] Y.Nannichi;J.Fan;H.Oigawa;A.Koma: Jpn.J.Appl.Phys.27. L2367-L2369 (1988)
-
[Publications] K.Saiki;Y.Sato;A.Koma: Jpn.J.Appl.Phys.28. L134-L137 (1988)
-
[Publications] A.Koma: Proc.Intern.Conf.Electronic Materials,Tokyo,1988(MRS Proceedings Series). (1989)
-
[Publications] 壽榮松宏仁: "黒鉛層間化合物の結晶構造と物性" リアライズ社, (1989)