1988 Fiscal Year Annual Research Report
希土類合金磁石中の永久じ磁化種と超高保磁力機構の研究
Project/Area Number |
63460033
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮島 英紀 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (70166180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近角 聡信 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10013450)
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Keywords | 永久磁石 / Nd-Fe-B磁石 / 磁化過程 / 保磁力 / 逆磁化発生 / 磁気ヒステリシス環線 / バルクハウゼン飛躍 / 永久磁化種 |
Research Abstract |
本年度当初の予定では、Mossbauer効果測定装置を購入・稼働して急冷薄試料中の永久磁化種について調べる予定であったが、Mossbauer効果測定装置の納入が年度末の3月と予想外に遅れてしまったので、この方面の研究は着手したばかりで、主たる成果をあげめに至っていない。そのため、今年度の課題の一つである保磁力の発現機構と磁化種の関係について重点的に研究を行い、次のような新しい知見を得た。 1.磁化種が存在していると思われる永久磁石表面層に点状傷あるいは線状傷を付け、保磁力の変化を調べた。傷の存在により保磁力が減少し、この減少分は傷の大木さに比例することがわかった。これは当初に予想した通り、磁化種が磁石の表面付近の磁気的不整合層中に存在している可能性を示している。(ICM'88(パリ)にて発表)。この磁気不整合層の存在は、スピン再配列温度150K以下で保磁力に顕著に反映する。逆に、表面層を希土類金属で被覆したり、表面を研磨することにより、磁石性能改善の方策になることがわかった。 2.20K以下の低温における減磁過程を調べたところ、数段階のバルクハウゼン飛躍を伴った逆磁化の発生がみられた。この飛躍に際し、大きなパルス状の発熱が観測された。飛躍数は温度の減少と共に増加し、同時に保磁力は直線的温度変化からずれてジグザグ変化をする。 また、磁気ヒステリシス環線は第2象限と第4象限で不連続磁化反転が非対称になる。これらの現象は磁化反転の芽となる磁化種が正の磁化と負の磁化とでは異なる場所にあることを意味している。 3.SiやA1を添加した急冷薄帯(厚さ15〜70μm)磁石の高温における磁化の温度変化を測定し、磁化で不可逆的な温度変化を示すことを見つけた。磁化種による逆磁化発生が温度に対して不可逆であるためである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Oyani,;H.Miyajima,;S.Chikazumi,;S.Hirosawa,;M.Sagawa,: Journal of Applied physics. 63. 3316-3318 (1988)
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[Publications] Y.Oyani,;H.Miyajima,;S.Chikazumi,S.Hirosawa,;M.Sagawa,: Journal de physics. 1988.
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[Publications] Y.Otani,;H.Miyajima,;S.Chikazumi,: IEEE Trans Mag.1989.
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[Publications] Y.Otani,;H.Miyajima,;S.Chikazumi,: 10th International Workshop on Rare Earth Magnets and Their Applications. 1989.
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[Publications] H.Miyajima,;Y.Otani,;M.Kameda,;H.Sakamoto.;S.Chikazumi,: 10th International Workshop on Rare Earth Magnets and Their Applications. 1989.