1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460035
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 増雄 東京大学, 理学部, 教授 (80013473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香取 真理 東京大学, 理学部, 助手 (60202016)
宮下 精二 京都大学, 教養部, 助教授 (10143372)
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Keywords | 超有効場理論 / エキゾチックな相転移 / カイラルオ-ダ- / スピングラス / コヒ-レント異常法 / 量子モンテカルロ / フラクタル経理積分法 / イジングマシ-ン |
Research Abstract |
高温超伝導のメカニズムとも深く関係していると思われるカイラルオ-ダ-等のエキゾチックな秩序に関する研究を、超有効場理論を用いて実施した。2次元反強〓性量子スピン系において、対角方向の相互作用も入れたフラストレ-トした正方格子スピン系では、スカラ-のカイラルオ-ダ-は起らないことが、12スピンのクラスタ-超有効場近似で結論された。この結論は、他の数値解析的な計算結果と一致している。尚、ベクトルのカイラルオ-ダ-が2次元ハイゼンベルグモデルでは、有限温度では存在しないことが、ボゴリュ-ボブ不等式を用いて厳密に証明された。また、スピングラスに対しても超有効場理論を適用し、2次元、±Jモデルでは、有限温度では相転移が起らないことが示された。さらに3次元モデルでは、スピングラス転移温度が有限に現れることが確認され、その臨界指数も評価された。また、相転移を解析する方法として、鈴木は、合流型転送行列法という非線型な解法を考案した。この方法によると、自発的な対称性の破れが小さなクラスタ-を用いても、議論できる。この方法とコヒ-レント異常法(CAM)を組み合せると、いろいろな系の臨界現象が研究できることがわかった。 量子系のモンテカルロ法の基礎となるトロッタ-分解公式を拡張してフラクタル経路積分法を発見した。この経路積分法は、任意の次数まで精度をあげることができ、また、負の時間や負の温度を途中に含むため、反粒子生成を類推させる方法であり、概念的にも実用的にも極めて興味深いものであり、今後、量子多体系を扱う一般的な方法として、物性物理学だけでなく、素粒子や原子核等他分野でも大いに利用されるものと期待される。 尚、イジング専用機の設計が終了し、発注する運びとなった。今後、このマシ-ンを用いての研究成果が期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Suzuki: "Canonical Series of Exactly Solvable Models for the CAM-Spontaneous Broken Symmetry of Effective Hamiltonians Based on the Confluent Transfer-Matrix Method-" J.Phys.Soc.Jpn.58. 3642-3650 (1989)
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[Publications] T.Kawarabayashi and M.Suzuki: "Absence of Vector Chiral Order in the Two-Dimensional Antiferromagnetic Heisenverg Model" Phys.Lett.A.
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[Publications] M.Suzuki: "Fractal Decomposition of Exponential Operators with Applications to Many-Body Theories and Monte Carlo Simulations" Phys.Lett.A.