1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
歌田 實 東京大学, 総合研究資料館, 助教授 (50012406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 正明 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (50162714)
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Keywords | 細粒堆積岩 / 化学組成 / 鉱物組成 / 蛍光X線分析法 / 秋田県北鹿地方 / 基盤岩 / 火山性物質 / 変質作用 |
Research Abstract |
本研究で導入した蛍光X線装置SEA2001は、主として金属・セラミックスなどの製品品質管理用に開発されたものであり、本研究ではこれを応用して岩石の簡便な化学分析法を確立することを研究目標の一つとしている。本年度の研究により下記のとおり初期の目標は達成した。 (1)同一サンプルを用いての繰返し実験の結果では、5回の平均値をとることにより十分な分析精度が得られる。 (2)標準サンプル法が最も精度が高い。しかし、各元素について標準サンプルと含有量の著しい差のある場合には分析精度が悪くなる。この対策としては、第1回は基準サンプルを用いて定量し、最も含有量の近い標準サンプルを用いて第2回の定量を行う方法がよい。標準サンプルとしては均質な細粒岩で信頼できる湿式分析の値のあるもの10ヶを選定した。 (3)他の蛍光X線分析法によって得られた値と比較した結果、元素により大きな差があることがわかった。大きな誤差はエネルギー分散の補正による誤差が相乗されているためと考えられる。 (4)秋田県北鹿地方で堀削されたボーリングコアを用いて中新世泥岩の化学組成について予察的な検討を行った。不動成分の比Al_2O_3/TiO_2と他の元素の含有量との比較により、基盤岩に由来する成分、堆積盆中の火成活動に由来する成分、および変質作用により付加または溶脱された成分の3つがみとめられた。この中で、堆積盆中の火成活動による火山性物質の寄与が著しく大きいことが示された。また、基盤岩類に由来する成分には時代による消長がみられ、これは堆積盆の消長と調和的である。変質作用による化学成分分化は元素より大きな違いがみられる。Na_2OとCaOの移動量はとくに大きく、SiO_2がそれに次いでいる。
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