1988 Fiscal Year Annual Research Report
ペリドタイト部分溶融における粒界濃集微量元素の挙動
Project/Area Number |
63460053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 和博 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90111624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎並 正樹 名古屋大学, 理学部, 助手 (20168793)
諏訪 兼位 名古屋大学, 理学部, 教授 (70022564)
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Keywords | 鉱物粒界 / マグマ / 部分溶融 / 微量元素 / ペリドタイト / 希土類元素 / チタナイト |
Research Abstract |
科学研究費補助金の交付を受けてイオンクロマトアナライザを購入し、岩石中の陰イオンと陽イオンを定量分析して次の研究成果を得た。 1.世界各地のマントルペリドタイトの全岩組成と鉱物のモードおよび組成を比較し、鉱物で説明できない成分を定量した。この結果、鉱物で説明できない成分、例えばK_2Oは岩石1kgあたり100mg前後に達し、全岩含有量の60〜80%に相当することが明らかになった。 2.鉱物粒界をX線マイクロアナライザで分析し、鉱物で説明できない成分が粒界に濃集していることを確認した。粒界濃集成分は脱イオン水に溶出する。各種のペリドタイトについて、20℃で9回溶出する実験と75℃で8回溶出する実験を行ない、溶液をイオンクロマトアナライザでK・Na・Li・NH_4・F・Cl・NO_2・Br・PO_4・NO_4・SO_4について定量分析した。この結果、粒界に濃集している成分のうち二次的な吸着と解釈される量は僅かであり鉱物で説明できない量の約80%は岩石固有のものであること、粒界成分の結合エネルギーは多様であることが判明した。粒界成分が寄与することにより、ペリドタイトの部分溶融で数%以上の玄武岩質マグマが生じ得ることが実験的に確認できた。 3.岩石の構成鉱物を分離し、その存在量と希土類元素含有量を正確に定量した。岩石中の重希土(Gd〜Lu)の20〜30%、軽希土(La〜Sm)の60〜40%が粒界に濃集していることが明らかになり、マグマの希土類元素パターンの多様性を解明できた。 4.チタナイトはCaTiSiO_5の理想組成を持つ。低圧条件下で結晶した花崗岩からTi^<4+>+O^<2->=Al^<3+>+F^-の置換でTiの50%以上がAlに代ったチタナイトを発見した。チタナイト中のAl量が圧力の関数とならないことを示すと同時に、共存鉱物のF・Clを定量して岩石固結過程における水・F・Clの相対的な活動度の変化を解明した。
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