1988 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体の非平衡現象の解明とトランジスタへの応用
Project/Area Number |
63460058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 猛 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (80153617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斗内 政吉 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (40207593)
藤原 康文 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10181421)
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Keywords | 高温超伝導 / 超伝導トランジスタ / 非平衡 / エピタキシ |
Research Abstract |
酸化物高温超伝導体のエピタキシャル成長の研究から開始した。Y系の薄膜を反応性マグネトロンスパッタにより(110)、(001)方位にエピタキシャル成長するための諸条件を把握した。ストイキオメトリの調整と十分な酸素分圧の供給、そして安定した基板加熱が必要条件であった。 作製した薄膜の超伝導特性を詳しく調べた。(110)配向エピタキシャル薄膜によれば、この高温超伝導体は強い異方性をもっていて、C軸方向には電流が流れにくいことが判明した。asーgrown薄膜の臨界温度は72Kであった。これを酸素ガス中でアニールすることにより80K以上の値を得ることができた。 以上の準備のもとに高温超伝導体の非平衡状態を調べる基礎実験にはいった。新しい超伝導体における非平衡現象は、また未知の領域であるために、果して非平衡状態自体が存在するのかどうかも分からなかった。したがって、本研究は世界で最初に行なわれた挑戦的な研究であった。(001)配向エピタキシャル膜を用いて3端子構造のトランジスタ素子を作った。ゲートはホットな準粒子を注入できるよう設計した。ゲートから注入されたホットホールがチャネルに過剰蓄積して、チャネルの臨界電流を低下させる様子が明確に観測された。 ゲート注入電流と変調特性の関係をBCS非平衡理論により計算された結果と対比することから、非平衡超伝導状態が発生していると結論された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小林猛: 粉体および粉末冶金. 35. 392-396 (1988)
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[Publications] T.Kobayashi: Applied Superconductivity Conference(San Francisco)ED-19. (1988)
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[Publications] T.Takahashi: Nippon Seramic Kyokai Gakujutsu Ronbunshi. 94(4). 489-490 (1988)
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[Publications] S.Minomo: Japanese Journal Applied Physics. 27. L411-L413 (1988)