1988 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レーザの光位相同期による光周波数シンセサイザの開発
Project/Area Number |
63460064
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大津 元一 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助教授 (70114858)
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Keywords | 半導体レーザ / 周波数シンセサイザ / 周波数同期 / 位相同期 |
Research Abstract |
まず、主発振器としての半導体レーザの注入電流を電気的に負帰還制御し、その発振スペクトル線幅を700Hzまで狭窄化した。これは現在の半導体レーザに関して最も狭い幅であり、世界最高のコヒーレンスを持つ。このほかにもう一台の半導体レーザを用意し、これを従発振器とした。主、従発振器からの光のビート信号を検出し、この信号の位相が別に用意するマイクロ波局部発振器からのイクロ波信号の位相と一致するように従発振器の注入電流を広帯域、高精度で負帰還制御した。その結果、ビート周波数の揺らぎの標準偏差値は0.6Hzまで小さくなった。この値は主発振器自身の周波数揺らぎよりも十分小さく、このことから従発振器の周波数は主発振器の周波数に高精度で同期追随していることが確認された。この周波数同期ループのキャプチャレンジは1.6GHzであり、追随誤差は2.7MHzであった。これらの数値から、この周波数同期ループはきわめて高精度、高安定であることが確認された。さらにこの周波数同期状態で、マイクロ波局部発振器の周波数を掃引することにより従発振器の周波数も安定に掃引された。掃引可能範囲は64GHzに及び、広帯域の周波数可変光源、すなわち光周波数シンセサイザが実現した。将来、動的単一モードレーザを用いれば、この掃引可能範囲が1THzになることが推算された。さらにビート信号の位相揺らぎを1ラジアン以下にし、より安定な系を実現するための条件、すなわちヘテロダイン型光位相同期ループを実現するための条件、を見いだすための電子回路シミュレーションを行い、必要なレーザの性能を見積ることができた。この結果を元にさらに性能の高い高コヒーレント半導体レーザモジュールを製作した。これは容積125ccのケースに収められモジュール化されており、シンセサイザへの応用の為に信頼性の高いシステムである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] L. Hollberg;M. Ohtsu: Applied Physics Letters. 53. 944-946 (1988)
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[Publications] M. Ohtsu;K.Y.Liou;E.C.Burrows;C.A.Burrus;G.Eisenstein: Journal of Lightwave Technology. 7. 68-76 (1989)
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[Publications] M.Ohtsu;Y.Teramachi: IEEE Journal of Quantum Electronics. 25. 31-38 (1989)
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[Publications] M.Ohtsu;E.Ikegami: Electronics Letters. 25. 22-23 (1989)
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[Publications] C.H.Shin;M.Teshima;M.Ohtsu: Electronics Letters. 25. 27-28 (1989)
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[Publications] 申哲浩,久保木勝彦,大津元一: 電気学会論文誌. 108-C. 678-684 (1988)
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[Publications] M.Ohtsu;T.Tako: "Progress in Optics XXV,Chapter II" Elsevier Publishing Co., 191-278 (1988)