1988 Fiscal Year Annual Research Report
TiーNi系形状記憶合金の荷重/変形/温度組み合わせサイクル下での機能劣化特性の評価
Project/Area Number |
63460075
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 道七 立命館大学, 理工学部, 教授 (90066613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 英明 大阪産業大学, 短期大学部, 教授 (90097999)
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Keywords | 形状記憶合金 / TiーNi系合金 / 温度サイクル / 回復力 / 劣化特性 |
Research Abstract |
本研究の目的は形状記憶合金の中で最も汎用性のあるTiーNi系合金を用いて、荷重,変形,温度の各サイクルを任意に組み合わせて試料に負荷し、形状記録機能の劣化特性と強度劣化特性の両者について系統的な評価方法を確立しようとするものであり、研究期間は昭和62年と平成元年の2年間にわたり、本報告はその初年度の研究実績に関するものである。 使用した試験機は本研究のために特別に設計製作された新素材機能特性評価試験装置(東京衝機製)で、すでに設置ずみであり、荷重,変形,温度の三つのパラメータを独立に制御し、かつモニターすることができる。試料Ti-Ni系形状記憶合金線材(直径1mm)で、これを有効径8mm,ピツチ2mmのコイル。に巻き、480℃で形状記憶処理を行い、実験に供した。予備実験の過程において、密閉した試験槽内で温度サイクルを加えると、槽内に乾燥空気中の蒸気が凝縮して結露を生じ、試験環境が変化すめため、槽内に乾燥空気を供給するための装置を付加した。 実験は最も基本的な試験パターンとして、上記試料に一定の引張変形を与えた状態で、20℃から100℃の間で台形波状に変化する温度サイクルを加え、荷重温度履歴曲線の変化を記録し,詳細な検討を加え、この履歴曲線から得られる回復力の変化を求めた。なお、本試料のMs点は約50℃である。実験の結果,回復力は温度サイクルの初期の期間は殆ど変化しないか、式は除々に降下するのみであるが、一定期間を過ぎると、両対数紙上で直線的に降下するようになること、および、初期の引張変形量が大きい程降下の速度が大きいことが見出された。なお、本装置の場合、温度サイクルの繰り返し速度には限界があり、高繰り返し数の実験が困難であるため、目下、加熱冷却方法に改良を加えており、その完成を持って、来年度4月以降に高サイクル領域を含む体系的な実験を行い、長期間にわたる劣化特性の評価方法について検討を加える予定である。
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Research Products
(1 results)