1988 Fiscal Year Annual Research Report
融液凝固法による単結晶育成プロセスにおける流動・伝熱過程に関する研究
Project/Area Number |
63460095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棚沢 一郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30013105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 透 東洋大学, 工学部, 助教授 (40165634)
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Keywords | 伝熱 / 流れ / 材料製造 / 単結晶 / チョクラスキー法 / 引上げ凝固法 |
Research Abstract |
最近、電子デバイスやエネルギー変換に使用する新材料として、各種の単結晶が製造されており、特に高品質で大口径の単結晶に対する需要が増大しつつある。大口径単結晶の製法として現在もっとも多く用いられているのは引上げ凝固法(チョクラルスキー法)であるが、この方法では凝固過程における熱・物質移動および融液の流動が、得られる単結晶の品質に大きな影響を与える。本研究は、チョクラルスキー法による単結晶育成において生じている流動・伝熱過程について理解を深めること、特に凝固の際に結晶内に出現する成長縞(ストライエーション)の発生機構を伝熱学的に解明することを目的とするものである。第1年度には、チョクラルスキー法におけるつぼ内の流動・伝熱過程を模擬するための実験装置を作り・感温液晶を液層中に懸濁させる手法によって流れと温度分布の同時可視化を行った。その結果、るつぼおよび結晶の回転数、加熱・冷却の条件、および液体の物性値の組合せがある範囲の値をとる場合には、るつぼ内の液体の流れおよび温度分布に軸対称で周期的な振動が起こることを見出した。また、このような実験と並行して、大型計算機による数値シミュレーションを行い、実験で観測されたものとまったく同様の流れおよび温度分布の周期的振動を得ることができた。そしてこの結果から、実際のチョクラルスキー法においても、るつぼ内では、浮力による自然対流と回転による強制対流の干渉のために、流れと温度場の変動が生じているものと推測した。そこで、ガリウムひ素(GaAs)の物性値を用いて再度数値シミュレーションを行った結果、90秒程度の周期で変動する流れが得られ、この値が、実際の成長縞の周期とほぼ一致することから、成長縞の成因はこのような流れの振動であろうという結論に達した。
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Research Products
(2 results)