1988 Fiscal Year Annual Research Report
熱伝達率・速度変動相関測定による乱流熱伝達に及ぼす大規模渦効果の解明
Project/Area Number |
63460096
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 邦夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 孝夫 東京工業大学, 工学部, 助手 (30155923)
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Keywords | 乱流熱伝達 / 速度・熱流束相関 / 衝突噴流 / 微細熱流束計 |
Research Abstract |
乱流熱伝達は実用的にも最も重要な伝熱現象であり、そのうちスイープ等の大規模渦にらるエネルギー輸送の影響が重要なことが明らかになってきているが、その研究は従来速度場の計測のみによってなされており、速度場を熱伝達率との関連で捉えた研究はほとんどみられない。そこで本研究では、比較的に乱流特性時間の遅い水の衝突噴流を用い、衝突板上に設置した自作の極微小熱流束計により測定した伝熱面上の任意の点の熱流束の変動を基準とし、ファイバー形LDVにより求めた全流れ場の任意の点での速度との相互相関を求め、その相関の時間変化図を作成し、相関の最大値の等値線から渦運動軌跡を、またある瞬間の等相関線から渦寸法を求め、従来可視化法でしか捉えることが困難であった大規模渦の運動を視覚的捉えて、乱流渦運動の熱伝達に及ぼす影響を解明することを目的としている。研究に先だって衝突噴流試験部を含む実験装置を製作し、ファイバー形LDVにより平均流の速度分布を測定し、従来の実験結果に一致する結果を得た。熱流束の変動を測定する熱流束計の大きさにより、検出する渦の大きさ等の測定精度が決定されるため、直径10mm、厚さ20μのニッケル薄膜を加熱した中空銅ブロックの端面にハンダ付けし、中心部の温度を極微細熱電対で測定することにより、水の乱流変動に十分応答する熱流束の変化を測定することが出来た。その出力信号は極微弱なので、SN比を向上させるために、装置内に増幅器を組み込んだ。伝熱面として平板淀み点を用い、これに水の軸対象噴流を衝突させ、流れ場全域の各方向の速度変動と壁面の熱流束変動の相互相関を測定したところ、ノズル出口Re数が約5000の時、淀み線上の相関関数は衝突面に近づくにつれ増加し、最大値で0.2程度となり、衝突面から7mmの付近で急激に減衰した。このことは、この付近での流体変動が最も重要であることを意味している。
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