1989 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶半導体材料の粒界面伝導制御と酸化錫薄膜における新機能性の発現
Project/Area Number |
63460120
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西野 種夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 秀行 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (30112022)
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Keywords | 多結晶半導体 / 酸化錫薄膜 / 粒界面伝導 / 太陽電池 |
Research Abstract |
多結晶半導体材料は、LSIや各種オプトエレクトロニクス素子に利用されているが、これら一連の素子が微小化、微細化するに従って粒界面伝導の制御が重要になっている。本研究では、各種電子デバイスに多用されている酸化錫(SnO_2)多結晶薄膜を取り上げ、ホ-ル効果の精密測定より、その電気伝導機構を調べ、粒界伝導の制御法を明らかにするとともに、SnO_2薄膜の新しい機能性を追求し、新しい応用を検討した。本年度は、化学気相成長法および電子ビ-ム蒸着法で、ガラス基板上に作成したSnO_2薄膜に対してホ-ル効果測定を行い、これら薄膜の電気伝導機構の解明を中心に研究を進めた。ホ-ル効果測定に関しては、液体ヘリウム温度から室温までの広い温度領域においてホ-ル効果の自動測定システムを完成し、自動的にキャリア密度や移動度を解析できるコンピュ-タ信号処理システムを確立し、実験を遂行した。電子ビ-ム蒸着法により作成した低抵抗SnO_2薄膜に関しては、Fド-ピングによる近抵抗化の機構をホ-ル効果の精密測定より明らかにした。この結果によると、SnO_2薄膜中にFをド-ピングすると、Fは粒界面に堆積し、粒界面散乱を減少させ、近抵抗化することがわかった。また、これらSnO_2薄膜中の電子の移動度は、粒界に堆積した中性およびイオン化したF不純物によって決まっていることが明らかになった。従って、SnO_2薄膜中にFをド-ピングすることによって、SnO_2薄膜におけるキャリアの粒界面散乱の影響を大きく減少することができたので、さらに近抵抗化を進めるためには、F不純物の粒界への有効な堆積方法あるいは他の不純物との相互ド-ピングによる有効な粒界面散乱効果の減少が有効であると考えられる。このような各種不純物のSnO_2薄膜中へのド-ピングは、近抵抗SnO_2薄膜の作成のみならず新しい機能性の発現の可能性を示唆している。
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