1988 Fiscal Year Annual Research Report
盛土荷重を受けた軟弱地盤の安定解析法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63460157
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中瀬 明男 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末政 直晃 東京工業大学, 工学部, 助手 (80206383)
竹村 次朗 東京工業大学, 工学部, 助手 (40179669)
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Keywords | 粘性土 / 盛土 / 安定解析 / 間隙水圧 / 有効応力 / 全応力 |
Research Abstract |
盛土荷重を受けた軟弱地盤の安定性の合理的な評価法に関する知見を得ることを目的に、遠心模型実験装置を用いて精度の良い模型実験を行ない、盛土荷重を受けた軟弱粘性土地盤の強度・変形特性を調べた。即ち、試料として塑性指数約30の川崎粘土を用い、これを遠心圧密することにより深さ方向に強度が増加する正規圧密粘性土地盤を作成し、遠心力場内でこの地盤上に法面勾配を種々変えた盛土を作成し、地盤内間隙水圧地盤変位等を測定した。その結果として、以下に示す結論を得た。 1)法面勾配が等しい場合、地盤の強度が大きくなるほど変位の及ぶ領域は広がり、変位の絶対量は減少する。 2)法面勾配が緩くなるほど変位領域は広がり、すべり面も深くなる。従って、深さ方向に強度が増加する正規圧密粘性土地盤では、特に法面勾配が盛土の安定性に大きな影響を与える因子であると言える。 3)盛土載荷によって発生する間隙水圧は、載荷直後が最も大きくなるのではなく、載荷後暫くしてピークが現れその後減少する。この傾向は特に法面直下で著しい。 4)全応力法による安定計算で求めた安全率が1近くのケースでは、地盤は、盛土築造直後は破壊せず、実地盤換算で一週間程たった後破壊した。盛土載荷によって発生した過剰間隙水圧が盛土中央部から法先部へ再配分することにより、法面下部の強度が低下し破壊に至ったものと考えられる。必ずしも盛土載荷直後が最も危険な状態ではなく、載荷後の間隙水圧挙動により地盤は不安定側に推移する可能性がある。 5)全応力法を用いた安定解析で、盛土の急速載荷に対する粘性土地盤の安定性をある程度評価できるが、4)項で取り上げた破壊を予測するためには、間隙水圧の正確な評価とそれを用いた有効応力解析が必要となると考えられる。
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