1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460193
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
深井 有 中央大学, 理工学部, 教授 (80055136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 進 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (80132679)
渡辺 健次 中央大学, 理工学部, 講師 (80055160)
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Keywords | 鉄ー水素系 / 遷移金属ー水素系 / 高圧実験 / 状態図 / 融点降下 / 水素溶解度 |
Research Abstract |
前年度に引続き、遷移金属ー水素2元素の状態図を広い温度・組成領域で決定する実験を行い、TiーH系については圧力5GPa下での状態決定をほぼ完成した。またVーH系についても予備的な結果が得られた。これらによって遷移金属ー水素2元素の一般的特徴、とくに水素による顕著な融点降下と、より高水素濃度領域での包晶線の存在が明らかにされた。融点降下に関しては侵入型融体モデルにもとずく理論も成功を収めた。より高水素濃度領域の実験については、水素源としての水素化合物LiAlH_4の分解濃度・圧力条件を決定し、それにもとずいて高圧セル内での金属の水素化の予備実験を行って成功を収めているが、定量化にはもう一段の工夫を必要としている。 高圧下での中性子散乱実験については、高圧セルの使用条件を定める予備実験を積重ねているが、本実験を行うにはまだいたっていない。 これらのほか、高水素圧下での金属中への水素溶解度に関して、最も信頼のおける水素の状態方程式にもとずく計算を行った。これは高圧セルに用いる材料の選択に際して不可欠な情報であって、今後、この種の実験を行う者に重用されるであろう。 本研究は、実験技術を一歩ずつ積上げてゆく必要から、当初の課題を若干ひろげて取組むこととなり、今のところ鉄一水素系そのものよりは、その周辺に止まっているけれども、計画は全体として順調に進展しているので、来年度にはその成果がまとまりを見せるものと期待している。
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