1988 Fiscal Year Annual Research Report
BaーCuーYーO酸化物系状態図の解明と微細組織制御に関する研究
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63460202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長村 光造 京都大学, 工学部, 教授 (50026209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 庄治郎 京都大学, 工学部, 助教授 (30111925)
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Keywords | イットリウム系酸化物 / 超伝導酸化物 / 状態図 / 組織制御 / 液相焼結 / 超伝導臨界電流密度 / 三元包晶反応 / 三元共晶反応 |
Research Abstract |
材料開発の基礎として関連する状態図等の熱力学データの整備は必要不可欠である。そこでBaーYーCu系酸化物超伝導体にかかわる系の状態図を明らかにすべく研究を行い次のような成果を得た。まず従来全く報告のなかったBaOーCuO2元系状態図を明らかにした。この2元系にはBaCuO_2、Ba_2CuO_3の2種類の化合物が存在し、Ba_2CuO_3は多形を示し、高温では正方晶、低温では斜方晶であることを解明した。CuOーBaCu_2の範囲では共晶反応が生ずる。BaCuO_2ーBa_2CuO_3の間でも共晶反応が生ずる。BaOーBa_2CuO_3の間で包晶反応が生ずること、またBaCuO_2は合成反応によって形成されること等が明らかとなった。次にBaOYO_<1.5>ーCuO3元系状態図の結果について述べる。3元素内にはT_1(Ba_2YCu_3O_<6+X>)、T_2(BaY_2CuO_5)、T_3(Ba_8YCu_4O_Y)の3つの化合物が存在する。T_1相はT_2とT_3および液相とから3元包晶反応によって形成される。またT_1+T_3【double half arrows】T_2+BaCuO_2の包共析反応およびT_2+L【double half arrows】T_1+CuOの包共晶反応が生ずること、液相はL【double half arrows】T_1+BaCuO_2+CuOの3元共晶反応によって消滅することなどの一変系反応があることを明らかにした。実際に固相焼結反応等の研究に必要とされる900℃および950℃の等温断面を詳しく決定した。T_3相の存在は本研究で初めて明らかにされたものであり、その結晶構造、固溶範囲を詳しく調べた。固相反応法によりBa_2YCu_3O_<6+x>超伝導体を作成し、組成、焼結温度・時間、雰囲気の組織および超伝導特性に及ぼす影響を詳しく調べた。わずかにCuOの組成が多い試料を930℃以上で焼結すると結晶粒は著しく粗大化するが、これは上述の包共晶反応より高温であるため、焼結過程で液相が関与するためであることを解明した。超伝導臨界電流密度は焼結過程で液相が存在しなかったYO_<1.5>あるいはBaOがわずかに多い試料で高いことが明らかとなった。これらのことは組織制御により電流密度を上昇させることができることを示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kozo,Osamura: Z.Metallkunde. 79. 693-695 (1988)
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[Publications] Kozo,Osamura: J.Amer.Ceram.Soc.