1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460210
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
安富 六郎 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 教授 (10011892)
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Keywords | 農地災害 / 土地利用 / 洪水 / 侵食 / レオロジ- / 土壌水分 / 突固め試験 / スレ-キング |
Research Abstract |
平成3年度には昭和63年からの成果をまとめる作業と、これらに関する補足的調査研究を行った。中山間地の土地利用と災害については法面侵食破壊による農地災害に対する施工上の留意点を明らかにし、平坦地の常襲洪水地帯の水田災害については遊水地的機能を地域計画的土地利用に際し評価する必要性を強調した。事例として茨城県土浦市周辺地域の桜川中流付近のランドサット撮影による水害冠水地域を土地利用条件図、土地利用図に重ね、洪水の土地利用面からみた特徴をしらべ、水田が災害の緩衝地帯となっていることを確めた。 さらに小貝川下流地域における堤防決壊地域から市街地方向に流出する洪水が用排水路、排水幹線に排水され氾濫水の水足が圃場整備前後で著しく改善されたことを明らかにした。都市の市街化地帯は徐々に平坦水田方面にのび、農業地帯全体が非農業用地として変ぼうしつつある。このようなところの総合的土地利用のためには防災面から地域防災的機能を考慮した水田圃場整備の重要性を示した。 利根川流域の菅生遊水地を調査し、遊水地に私有農地が存在するとき遊水地下流に及ぼす効果を上流水位の下流へのピ-クカット量を洪水統計から推定評価した。新潟県の福島潟遊水地についても遊水池と農地の利用による問題点を整理した。これらの結果、農地と水害地帯は常に密接な関係にあり、農地が他の土地利用や都市、集落の被災の防御に寄与していることを明らにし、洪水の被害を受け易い特定の水田地帯では農地の防災効果を評価した。 此の災害調査で明らかとなった堤防決壊や水田アゼ決壊の最も基本的現象としての水によるエロ-ジョン機構について理論的考察と実験を行った。侵食を誘発する要因の一つとしして土粒子間隙閉塞による透水性の低下、不透水層の発達についての解析にレオロジ-的な流動現象としてのプラッグフロ-を考え、これが現象説明に有効であることを明らかにした。
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[Publications] Rokuro Yasutomi,Machito Mihara: "Rainーfall erosion hazards of agricultural field in Japan" 14Th International Congress of Soil Science,Transaction. VII. 386-387 (1990)
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[Publications] Eshel Bresler and Rokuro Yasutomi: "Drip Irrigation Technology in SemiーArid Regions and International Cooperation" Journal of Irrigation Engineering and Rural Planning. No,19. 48-62 (1990)
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[Publications] 安富 六郎、中石 克也: "土壌物理におけるチキソトロピ-の研究、" 土壌の物理性. 60. 28-33 (1990)
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[Publications] 安富 六郎: "農村景観を大切にした農道整備" 農業土木学会誌. 59(1). 17-22 (1991)
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[Publications] 三原 真智人、安富 六郎: "中山間地における圃場整備の農地防災効果に関する調査事例" 農業土木学会誌. 59(4). (1991)
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[Publications] 三原 真智人、安富 六郎: "中山間地水田における侵食災害と土地利用上の特徴" 水利科学.
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[Publications] 安富 六郎,他(共著): "新農地工学" 文永堂, 320 (1991)
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[Publications] 安富 六郎,他(共著): "農業土木学会選書 明日をひらく農道整備" 農業土木学会, 200 (1991)