1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63460214
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤原 輝男 山口大学, 工学部, 教授 (40035019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深田 三夫 山口大学, 工学部, 助手 (20116750)
久井 守 山口大学, 工学部, 助教授 (80110237)
田熊 勝利 鳥取大学, 農学部, 助教授 (40032297)
日下 達郎 山口大学, 農学部, 助教授 (50038238)
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Keywords | 土壌侵食 / リル / フラクタル次元 / シミュレーション |
Research Abstract |
今年度は、主に現場に発達したリル網の写真観測と、そのデータを基にしたコンピューターシミュレーションによる、リル網の発達の現象再実験を中心に行なった。まず宇部市近郊の宅地造成地のまさ土斜面に、降雨によって発達したリル網パターンの写真撮影を定期的に行って、パーソナル画像解析装置を用いてパターンの幾何学的特性を調べた。リル網からの流出土砂量を定量的に把握するには、リル網パターンを数量化する必要があるが、そのパターンは非常に複雑であるため、従来の幾何学の手法では解析ができない。そのため、この研究ではごく最近、自然界の複雑な形態を有するものや、現象の数量化に用いられるようになって、その有効性が証明されつつあるフラクタル幾何学の中心的概念である、フラクタル次元を導入してリル網パターンの数量化を試みた。侵食量に最も関与するのは斜面勾配であるが、フラクタル次元と斜面勾配との間には明確な関係が見られ、勾配が20〜25°まではフラクタル次元は一様に減少し、リル網のパターンが単調になっていくこと、それ以上の勾配になると、パターンの複雑さは一定になることなどが分かった。侵食に関与している他の要因、土性、降雨強度、植生などについては、現在解析中であり、またデータも継続して収集中である。特にリルパターンの降雨による経時変化観測を目的として、豊北農地開発事業所(農水省)圃場造成地に設置した枠試験区では、今年度の少雨のためこれまでのところ、際だったリル網の発生はないが、今後観測は継続予定である。リル網のコンピュータシミュレーションでは、フラクタル現象として知られているランダムパターンモデルのうち、凝集体モデルなどを用いてリル網のシミュレーションを行って、現場に発達したリル網との形態の比較を行ったがかなりよく再現できるという結果が得られた。
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