1989 Fiscal Year Annual Research Report
プレ-ト内逆断層の活動度:地表変形のメカニズム論にもとづく再評価
Project/Area Number |
63460235
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米倉 伸之 東京大学, 理学部, 助教授 (30011563)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 安隆 東京大学, 理学部, 助手 (70134442)
|
Keywords | 活断層 / 重力異常 / 変位速度 / 地下構造 / 糸魚川・静岡線 / 甲府盆地 |
Research Abstract |
糸魚川・静岡線活断層系は、中部日本で最も活動度の高い活断層である。この断層系の北・中部では水平ずれ(左ずれ)が卓越し、8〜9mm/年という大きな変位速度を有することがわかっている(IKeda&Yonekura,1986)。南部では地形的にみて傾斜ずれが卓越すると予想されるが、定量的な吟味は未だなされていない。活断層としての糸魚川・静岡線は、甲府盆地まではほぼ連続的に追跡できるが、それ以南では不明瞭となる。甲府盆地は西縁と南縁を活断層で境される。前年度は、糸魚川・静岡線活断層系の南端部をなす西縁断層について高分解能の重力測定を実施した。本年度は、南縁断層について前年度と同様な調査を実施し、以下に挙げるような知見を得た。 (1)盆地堆積物の厚さは南縁で薄く盆地中心に向かって厚くなる。これは、前年度の調査で盆地堆積物が西縁断層に向かって厚くなるという結果が出たことと対照的であり、甲府盆地の沈降が主として西縁断層の活断によって生じていることを示唆している。 (2)重力異常のパタ-ンから、南縁断層は(極めて)低角の南傾斜スラストである可能性が高い。 上記の結果と前年度の結果を総合することにより、糸魚川・静岡線南端部における特異な変形様式を明らかにするための重要な知見が得られると考えられる。
|
-
[Publications] Yonekura,N.: "Tectonics and sea-level changes" Trans.Japan.Geomorph.Union. 10-A. 77-88 (1989)
-
[Publications] 米倉伸之,岡田篤正,森山昭雄: "変動地形学-成果と課題-" 地理学評論. 62. 225-240 (1989)
-
[Publications] 鈴木康弘,池田安隆,渡辺満久,須貝俊彦,米倉伸之: "庄内平野東縁における完新世の断層活動と1894年(明治27年)庄内地震-観音寺断層のトレンチ発掘調査による検討-" 地震. 42. 151-159 (1989)
-
[Publications] Ikeda,Y.,Suzuki,Y.,Herece,E.,Saroglu,F.,Isikara,A.M.,Honkura,Y.: "Geological evidence for the last two faulting events on the North Anatolian Fault Zone,western Turkey" submitted to:Tectonophysics. (1989)
-
[Publications] 池田安隆: "山脈の隆起と侵食" 地震. 43. (1990)
-
[Publications] 九州活構造研究会: "九州の活構造" 東京大学出版会, 554+48 (1989)
-
[Publications] 米倉伸之,岡田篤正,森山昭雄編: "変動地形とテクトニクス" 古今書院, (1990)